堀川を清流に
  堀川1000人調査隊2010

         活動の記録



   第15回 堀川1000人調査隊会議にて報告された事柄

     堀川の水が白っぽく濁るのはなぜ? 
       堀川の色の変化のメカニズム解明に迫りました!

     第15ステージの堀川1000人調査隊の、市民調査の総括報告。

       
平成26年9月27日(土)  於:名古屋都市センター

        ⇒第15回調査隊会議の様子はこちら

        ⇒名古屋市による浄化の取り組みの報告はこちら

        ⇒大同大学調査隊による新堀川浄化実験の中間報告はこちら



事務局より   平成26年9月27日
 
   平成26年9月27日(土)、名古屋都市センターで開催された
  第15回堀川1000人調査隊会議で発表された、第15ステージの市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

        ⇒PDFデータのダウンロードはこちら


  この報告の要旨

    第15ステージ(平成26年4月〜6月)の、堀川1000人調査隊による調査で
   堀川は、木曽川導水が停止した平成22年3月にいったん状態が悪化したものの、
   その後の名古屋市の水質改善のための施策(合流式下水道の改善など)によって
   改善あるいは現状維持の傾向が続いていることがわかりました。


    また、第15ステージは、堀川の色に、大きな特徴がありました。

   すなわち、
4月に大規模な赤潮が発生しました。
   5月〜6月にかけては、川の水が白濁し、淡い灰黄緑色、淡い黄灰色が多く出現しました。

    
    今回はこの堀川の色に着目し、特に堀川がなぜ白っぽく濁るのか、堀川のヘドロの色は
   なぜ黒いのか、といった観点から、調査隊会議でも実験や体感をすることを試みました。

    堀川のこうしたメカニズムが少しずつ解明されれば、堀川浄化のための処方箋づくりに
   役立てることも可能です。

   官と民が一緒になって堀川の再生に一丸となって取り組んでいきたいと考えます。


       以下、詳細は下記をご覧ください。



調査隊事務局からの報告

今日皆様にご報告するお話のポイントは次の通りです。

 1.第15ステージまで積み重ねてきた皆様の調査データによると
  堀川の水質は、木曽川導水が停止した平成22年3月以降、いったん悪化
  しましたが、その後ゆるやかに改善・あるいは現状維持を続け、第15ステージも
  その傾向は続いていることがわかった。

 2.第15ステージのおおきな特徴は気象条件にありました。

   今年4月から6月にかけての第15ステージは、平年と比べて
      日照時間が長かった、
      降水量が少なかった
      気温が高かった、という気象条件が大きな特徴がありました。

  その結果は、「堀川の色」に顕著に現れました。
  それが皆さんの調査報告にはっきりと示されています。

4月には、ちょうどフラワーフェスティバルのころ、堀川の色が赤茶色になるほどの
赤潮が発生しました。

またその他の期間(特に5月〜6月)は、全体的に淡い色、つまり白っぽく濁った状態が
多く見られました。 

またヘドロの巻き上げで、真っ黒になる様子も見られました。

今日は、その中で、堀川の色が白っぽく濁るメカニズムを再現するため、
実験を用意しましたので、まずそれから始めたいと思います。



皆さんのお手元に、昨日新堀川で汲んできた水をまわします。

このペットボトルのふたをあけて、においを体感してみてください。

この水自体は、実験の効果をよりはっきりさせるため、新堀川の
舞鶴橋付近で汲んできましたが、堀川でも基本的に同じにおいが
するものです。




この堀川や新堀川で特徴的なにおいのもとは、硫化水素です。

いわゆる、「卵の腐ったにおい」と言われているにおいです。


卵の場合でいうと、卵のタンパク質は、メチオニンやシスティンといった
イオウアミノ酸が豊富です。これが分解すると硫黄分が硫化水素として
放出されます。

この硫化水素臭が、堀川や新堀川の悪臭のもとになっています。



硫化水素のにおいがするときは、左記のようなときです。









この硫化水素などの硫化物は、酸素と反応すると白く濁ります。

今日は、硫化水素臭のする堀川(新堀川)の水が、実際に酸素と反応して
白く濁るかどうかを、皆さんと一緒に実験したいと思います。

なお、スライドの写真は、事務局が事前にためしに実験してみた時の写真です。
ペットボトルにいれた堀川の水を、ふたをしてシャカシャカと振って、酸素と
混ぜるようにして約2時間放置したところ、このように白く濁るのを確認しました。


堀川の水が酸素と反応すると白く濁る、ということが証明されれば
堀川では、何らかのメカニズムによって川の水が酸素と反応し、
その結果、堀川の水が白く濁って見える、ということが証明できることになります。


 ちょっとわかりにくいかもしれませんが、事務局で考えている
堀川白濁のメカニズムの仮説をご説明します。

 まず雨が降ると下水(家庭排水など)の流入によって堀川に
有機物がはいりこみます。

 そうすると好気性の微生物が酸素を消費しながら有機物の分解を進めます。

 その結果として堀川の水は酸素が少ない状態になります。

 すると今度は、酸素が少ない環境を好む(嫌気性の)硫酸還元細菌が
働き始めます。選手交代とでもいうのでしょうか。


 ところで、堀川には海水が遡上してきますが、この海水には、硫酸イオンが
ふくまれています。

 硫酸イオンはS(イオウ)と酸素(O)が結合していますが、硫酸還元菌は、
硫酸イオンから酸素を奪うため、結果として硫化水素などが発生します。


 この硫化水素が、先ほど体感していただいた温泉のような卵の腐ったような
においのする物質です。


 この段階で、堀川には卵の腐ったようなにおいがするはずです。
 ちょうど最初のペットボトルの状態です。


 次に、この硫化物が撹拌されて酸素と結合すると、S(硫黄)がコロイド状の
粒子状硫黄になることがあり、それが白っぽく濁る原因だと事務局では考えています。

 ちょうどペットボトルを振ってかきまぜて、酸素と結合をはかった状態です。

 堀川では、潮の干満によって水が大きく動きますので、このときに
こうした撹拌が起こるのではないかと思われます。

 以上が、現時点で事務局が考えている堀川白濁メカニズムの仮説です。


 今日の実験は、左のスライドで青い点線の丸印でかこった部分の過程を
再現してみようとするものです。

 先日、事務局が前もってためしに同じ実験をしてみたところ、堀川の水は
ひとつ前のスライドのように見事に白濁しました。

 今日、皆さんの前でもういちど再現できるといいなと考えている次第です。


 
 もうひとつ、本日は、堀川のヘドロはなぜ黒いのか?ということを
考えてみたいと思います。

 事務局で考えている仮説は、左のスライドのように、ヘドロの中の
硫化物が、鉄分と反応して、硫化鉄になるからだと考えています。

 硫化鉄の色は黒色であり、これが堀川のヘドロが黒い理由だと
考えています。





そこで今日は、堀川で採取したヘドロを持ってきました。

このヘドロの臭いを直接ご自身でかいでみてください。


ヘドロの臭いは、いろいろな臭いの混ざった複合臭ですが
少し鉄のようなにおいを感じる時がありますので、ぜひ
体験してみてください。

 

 左のスライドは、事務局が考えている、堀川のヘドロが黒くなる過程の
一例を示したものです。

 

 さてそれでは、第15ステージの、皆さんが実施してくださった
市民による水質調査の結果についてご説明させていただきます。

 今日は、限られた時間の中で盛りだくさんの内容になっていますので、
ポイントを絞ってご説明したいと思います。


 まず最初に、第15ステージまでのこの7年半を振り返りながら、
これまでわかってきたことを確認します。

 次に、第15ステージで顕著に現れた特徴などから、特に堀川の色や
においの発生メカニズムについての仮説をたて、検証してゆきたいと
思います。



 まず、3ページをご覧ください。

 今から2年半前に、皆さんで確認し、そしてこの調査隊会議で毎回確認している、
私たち調査隊が果たしている役割を今回も確認したいと思います。

 私たち調査隊の役割は

1.堀川にはまだまだ時間をかけて調査を続けなければわからないことがあります。
 
  だから私たちは、堀川の調査を継続し、堀川の実態解明、汚濁の原因を
 データで特定する必要があります。

  それによって、対策をたて、処方箋を描き、官民が力をあわせて、堀川の
 浄化、再生をめざし、それぞれができることを継続してゆきます。


2.私たち市民としてできることがあります。

  それは、木曽川導水の復活をめざし、堀川を愛する人の輪をさらに広げること

  木曽川、長良川、揖斐川など流域の人たちと市民レベルの交流を広げること

  雨の日の生活排水にきをつける運動など、家庭排水からの汚濁負荷を
  削減してゆくこと。


 私たち堀川1000人調査隊はこうした役割を強く意識して活動を続けていることを
 あらためて皆さんと共有したいと思います。





 次に、9ページをご覧ください。

 皆さんの調査報告の累計が、6月末までで、3,513件に達しました。
最近では、一年に約400件のデータをどんどん蓄積しています。

 


 10ページのグラフをみていただくとわかりますが、コンスタントに
調査件数を重ねている。

この息の長い、地道で、大規模な市民調査活動というのは、
おそらく世界でも類を見ないのではないかと思います。


 このデータの蓄積で、今までよくわかっていなかった堀川の現状や、
堀川の水の汚れのメカニズムに私たちは大きく肉迫しています。


 私たち堀川1000人調査隊は、みんなの力で、ものすごいことを
続けている、という自負と誇りを持ってよいのではないでしょうか。



 さて、この15ステージの大きな特徴は、気象条件にあります。

 今年の夏が異常気象であったために、今ではイメージしにくいかも
しれませんが、11ページをみてください。


 今年の4月〜6月は、まず気温、平年の値より1℃以上高い状況でした。
特に6月は1.7℃高かったんです。


 降水量ですが、平年より50o程度少なかった。
特に6月の降水量は平年の35%でした。


 日照時間、4〜6月の日照時間は、平年よりも50時間程度長く、
特に5月は平年値の137%でした。


 このことが、16ページのコラムにまとめてありますので、しるしをつけておいて
 ぜひあとでゆっくり読んでみてください。

 今日の報告は、このページのお話が中心テーマになっています。



 18ページをごらんください。

猿投橋より下流〜大瀬子橋までの、水の汚れの印象をグラフにしたものです。

平成19年4月から3年間の木曽川導水中に、堀川の水は改善傾向にありましたが
導水停止でいったん悪化しました。


 しかし、その後は徐々にではありますが、改善傾向にあるように見えます。


 そのグラフの上に、名古屋市の施策がどのように講じられてきたかが
記入してありますが、特に堀川右岸雨水滞水池の活用がはじまったことと
堀川の水が改善傾向に向かっていることに、相関関係があるのではないかと
事務局では考えています。


 事務局注
  守山水処理センターの下水再生水の活用は、改良工事(平成26年4月〜10月)
 のため、第15ステージは停止していました。





 19ページの図は、色をつけてみたものです。

 ちょっとわかりづらいかもしれませんが、横軸に、ご自分が調査している
たとえば納屋橋だったら、朝日橋〜松重橋のところから、黒い点線を
ずっと右にたどってゆくと、時系列的な変化が色でわかります。

 第7ステージあたりで山が一番高くなって、それから徐々に低くなっている
感じがわかるでしょうか。




 20ページは、春の4〜6月だけを抜き出して、区間別にグラフで
ならべたものです。


 松重橋より上流では、導水停止でいったん悪くなった堀川の印象が、
少しずつ改善しているのがみてとれます。




 25ページをご覧ください。

透視度について同じようにグラフをならべたものです。


 導水停止後いったん悪化した透視度が、やや改善あるいは
維持(横ばい)傾向にあります。


 ピンク色が春、水色が秋ですが、秋は、私たちの許容範囲である
70cmを上回っていますが、春は、60cm弱と、許容範囲を下回った
状態が続いています。


 しかし決して悪化傾向にあるわけではありません。





26ページは、それを色でみたものです。


 27ページは、春だけを抜き出して、区間別に並べてたものですが、
先ほどの水の汚れの印象と同じく、松重橋より上流の区間では
少しずつ改善に向かっている様子がみてとれます。


 これも、名古屋市の合流式下水道改善の策がきいているからでは
ないかと事務局では考えています。



 30ページをご覧ください。

 CODについてみたものです。


 導水停止後、しばらくはそんなに悪くなっていない、維持傾向に
ありましたが、去年、今年と春は悪化傾向にあるようです。





31ページは色でみたものです。



 32ページは区間別に春だけ抜き出してならべたものです。

 猿投橋〜城北橋の上流部では改善傾向にみえますが、
城北橋から朝日橋、朝日橋から松重橋、そして松重橋から大瀬子橋、
いずれも悪化傾向にあるようにみえます。


 これについては、なぜなのか、という点について、まだこれだけのデータでは
説明ができないですね。

 これから先の調査を続けることによって、いつか見えてくる日がくるのでは
ないかと思います。



34ページは、あわについてです。


導水停止後、やや悪化したのですが、これも改善、または維持傾向に
あります。

これについても、合流式下水道の改善効果(汚濁負荷流入軽減)に要因があると
事務局では考えています。





 35ページは区間別にわけたものです。

 城北橋から朝日橋で悪化しているようにみえますが、
他の区間では改善しているようにみてとれます。





 38ページをごらんください。


 においの状況についてもあわと同じように改善・維持の傾向にあるように
みられます。


 これについても合流式下水道の改善にその要因があるように考えています。





 40ページで区間別に並べてみると、改善傾向はより鮮明にみえます。



 ちなみに39ページに戻ってみてください。

 皆さんの報告ではドブの臭いとヘドロの臭いが約8割をしめています。


 しかしながら、このドブのにおいとかヘドロの臭いをはっきり嗅ぎ分けられる人は
なかなか少ないのではないかと思います。


 そこで、今日は堀川のヘドロをもってきました。

 このあと休憩時間に、堀川のヘドロのにおいを体験してみてください。


 ドブのにおいというのは、おそらくゴミのようなにおい、下水のようなにおいが
混ざった、いわく言い難いにおいをイメージしている方が多いと思いますが、
ヘドロのにおいをはっきりと識別できると、消去法でこれはヘドロではなく、
ドブのにおいだとか、両方が混じったにおいだとかが、わかるようになると思います。


 ちなみに、ヘドロの色について、ヘドロはなぜ黒いのか、というのは、先ほど
スライドでお話ししたように、硫化物と鉄分が反応して硫化鉄になっているからだと
考えています。


 実際にヘドロにさわってみると、かなっけを感じるにおいに気が付く人もあるかと
思います。ぜひためしてみてください。




 さて、この15ステージのもっとも大きな特徴があらわれたのが、色です。

 43ページをご覧ください。

 今年の4〜6月の堀川では、7番、8番、12番の明るい灰色がかった色が
数多く出現したのが大きな特徴です。


 これは、一番最初にご説明した気象条件、すなわち平年と比べて、
気温が高めであったこと、降水量が少なく日照時間が長かったことが
関係しているのではないかと事務局では考えています。


 また、4月に非常に目立つ赤潮が発生しましたので、14番の褐色が
出現したという報告も多くありました。




 これを表にしたのが45ページです。

 7番の黄灰色、8番の淡い灰黄緑色、12番の淡い黄灰色が
昨年と比べて大きく増えていることがわかるかと思います。


 おととしと比べても、8番の淡い灰黄緑色と12番の淡い黄灰色が
大きく増えていることがわかるかと思います。


 堀川の水がなぜ白っぽく濁るのか、これをこのあと考えていきたいと
思います。



 46ページは、かわせみ調査隊がずっと作成している錦橋での
写真カレンダーを抜粋したものです。

 毎日お昼休みに取り続けた写真をカレンダーにしたものです。


 46ページは今年4月の写真です。

 4月の15日から18日まで、錦橋のところで堀川が真っ赤になるほどの
赤潮になっている様子がよくわかると思います。




 次に、47ページと48ページをごらんください。


 47ページは5月のカレンダー、48ページは6月のカレンダーです。


 全体的に淡い白っぽい色が今年は目立っていることがわかると
思います。



 そこでまず赤潮についてみていきたいと思います。

 52ページをごらんください。

 皆さんの報告と事務局の現地確認で、赤潮は名古屋港の
ガーデンふ頭付近、堀川口防潮水門、大瀬子橋付近から
上流に向かって小塩橋あたりまで、褐色になっていたことが
確認されています。

 これより上流にも赤潮が広がっていたかもしれませんが、
調査データとしては確認がとれていません。


 事務局で問い合わせたのですが、この赤潮は、名古屋市
環境科学調査センターで調査したところ、植物プランクトンの一種で、
「クリプトモナス」というものだったそうで、このプランクトンが異常に
増加していたことがわかりました。

 この植物プランクトンは、海水、淡水を問わずいろいろな水域で
きわめて普通にみられるものだそうで、事務局が堀川の赤潮を採水して
顕微鏡でみた写真が52ページにありますが、回転しながら動き回る様子
の写真が掲載してあります。


 

 この赤潮が発生した期間はその上の51ページでわかるように、
大潮の期間で、海水を上流に向かって押し上げる力が強い期間に
あたります。

 ですからひょっとするとこの堀川の赤潮は、名古屋港にいた赤潮が、
上げ潮に押し上げられて堀川に遡上したものだったかもしれません。


 でもそうではないかもしれません。
といいますのは、環境科学調査センターの調査データを取り寄せて
みたところ、名古屋港の4月16日のCODの値は、ふだんとあまり
かわらない18だったそうです。

 しかし、堀川・小塩橋のBODは27もあったそうで、ふだんこのあたりの
BODは5〜7くらいなので、少なくとも小塩橋付近ではBODが非常に高い、
つまり有機物が非常に多い状態でした。


 ですから今回の堀川の赤潮は、名古屋港の赤潮が遡上したというより、
もともと堀川に生息していた植物プランクトンが何らかの原因で異常増殖
したのではないかとも考えられます。


 これだけのデータでは、海に原因があったのか、堀川自身に原因が
あったのか、真相は今のところよくわからないとしか言えません。


 




 53ページをあらためてご覧いただくと、堀川のいたるところで赤潮が、
それもかなり大量の赤潮が発生していたことがよくわかると思います。




 もうひとつ興味深いデータが54ページです。


 堀川で採水した水をかきまぜてそっとしておき、斜め上から強い光をあてると、
5分後くらいから光の方に向かってプランクトンが集まり始めました。


 下の段の写真で、3時間くらいした経過後、それを暗室にいれて約1時間たつと、
プランクトンは全体に広がってゆきました。

 光とプランクトンの関係が記録されており、これはどういうことなんだろうとか、
たいへん興味深いものになっています。



 55ページをご覧ください。

 赤潮の色、酸欠状態・青潮状態の白濁した色、そしてもうひとつの色
として、「黒」がクローズアップされました。


 実は、堀川の色が黒すぎる!という報告を5月13日に鯱城・堀川と生活を
考える会の方からいただきました。


 レポートには、前日の雨でヘドロが撹拌されたのか、においも堀川独特の
卵が腐ったようでした、と書かれていました。




 さっそく翌日に事務局で現地確認をしました。
それが56ページの報告です。

 5月14日、11時から17時にかけて大潮の干潮〜上げ潮にかかる
時間帯に、錦橋から下流に向かって名古屋港まで堀川の様子を
確認しました。


 その結果、錦橋から熱田区の旗屋橋付近までは灰緑色、
淡灰黄緑色で、錦橋から天王崎橋の間では、ヘドロが巻き上げて
水際にヘドロが露出している様子が確認できました。


 もうひとつの興味深いデータが56ページ下の錦橋で撮影した
3枚の写真です。

 一番左の5月12日は雨の降る前日、真ん中は雨が降った当日、
右側はその翌日の写真です。


 雨の降った翌日は、雨の降った当日よりもやや白っぽい、
淡い色になっているのがよくわかります。




 ちょっと飛びますが、59ページをご覧ください。

 実は、堀川では、雨のふったあとに色が白っぽく変わってゆく様子が
しばしば見られるのがわかります。


 このメカニズムを説明しようとしたのが、58ページの図です。

 ちょっとわかりにくいかもしれませんが、事務局で考えている
堀川白濁のメカニズムの仮説です。


 ゆっくり説明します。
 まず雨が降ると下水(家庭排水など)の流入によって堀川に
有機物がはいりこみます。

 そうすると好気性の微生物が酸素を消費しながら有機物の分解を
進めます。
 その結果として堀川の水は酸素が少ない状態になります。


 今度は、選手交代して、酸素が少ない環境を好む嫌気性の微生物、
硫酸還元細菌が働き始めます。

 堀川には海水が遡上してきますが、この海水には、硫酸イオンが
ふくまれています。

 硫酸イオンはS(イオウ)と酸素(O)が結合していますが、硫酸還元菌は、
硫酸イオンから酸素を奪うため、結果として硫化水素(H2S)などが発生
します。
 
この硫化水素が、先ほど体感していただいた温泉のような卵の腐ったような
においのする物質です。


 この段階で、堀川には卵の腐ったようなにおいがするはずです。

 ちょうど今日の実験で体感していただいた、最初のペットボトルの
状態です。


 次に、この硫化物が撹拌されて酸素と結合すると、S(硫黄)が
コロイド状の粒子状硫黄になることがあり、それが白っぽく濁る原因
だと考えらています。

 ちょうどペットボトルを振ってかきまぜて酸素と結合をはかった状態です。


 堀川では、潮の干満によって水が大きく動きますので、このときに
撹拌が起こるのではないかと事務局では考えています。


 つまり堀川では雨が降って汚濁物質である有機物が流入して、
それを分解するために酸素が消費されて酸欠の状態になり、
その状態で硫酸還元細菌が活動を始め、海水に含まれる硫酸イオンから
硫化物を作って卵のくさったようなにおいを発生させる。

 それが潮の干満によって撹拌されて酸素と結合し、コロイド状の
硫黄になることによって白濁する。

 それによって堀川の色が淡い色に見える。


 もっといえば、硫化物が硫黄にかわり白濁が進んでゆくにつれ、
硫化物自体は減ってゆくとすれば、堀川のにおいもだんだん消えて
ゆくのではないか。

 こういう説明ができるのではないかと仮説をたててみたわけです。


 今日のペットボトルの実験は、卵の腐ったようなにおいのする硫化物が、
撹拌されることによって白濁する現象、メカニズムを再現しようとするものです。


 こうしたメカニズムが、気温が高いこと、雨が少ないこと、日照時間が
長いことという気象条件と、本当に関係があるのかどうか、今の段階では
言い切ることはできませんが、これから先の皆さんの調査データの蓄積により、
いつの日か証明される日がくるかもしれません。


 そういう意味で、この第15ステージは、非常に大きな意義のある
ステージになったと思うわけです。




 次にヘドロの色はなぜ黒いのか? という話です。

 この説明を試みたのが、60ページの説明です。

 堀川の川底では、無酸素に近い状態で、硫化物と鉄分が混在して
います。

 この硫化物と鉄分が結びつくと、硫化鉄ができます。

 この硫化鉄が黒い色をしているため、堀川の汚泥が黒くなっている
のではないかと考えています。

 
 先ほどの休憩時間にヘドロをさわってにおいをかいでみて、、
なんとなく鉄のような金臭いにおいを感じた人はおられますか?

 (数人から手があがった)

 やはりおみえになりますね。

 



 最後に堀川でよく見られる灰緑色や、淡い灰緑色について
説明を試みたのが57ページになります。

 堀川の色の3原色といっていいかどうかわかりませんが、
ひとつはヘドロの黒い色、ひとつは貧酸素状態(青潮)のときのような
白濁したような緑色、ひとつは、植物プランクトンが増えた時の赤い色、

この黒と白っぽい緑と赤を透過率を変えて混ぜてみると、
まさしく灰緑色、淡い灰黄緑色になります。

 巻き上がったヘドロの影響を強く受ければ黒っぽい色に見えますし、
貧酸素状態で硫化物が多ければ白っぽく見えます。


 堀川の色を見ると堀川の状態がわかり説明ができる、という段階に、
私たちは少しずつ近づいてきていると思いますし、これはとてもすごいこと
なのではないでしょうか。




 あと、これまでにも報告したことがあると思いますが、62ページから
65ページまでは、堀川に魚が死んで浮く現象は、毎年4月から6月にかけて、
大潮のころにまとまった雨がふったときに多い、ということを記録したものです。


 以前にもお話したことがありますし、今日は時間の関係で深くふれませんが、
その記録を今年も続けていますので、いつかまた、魚が浮くメカニズムの
仮説をきちっと説明できる日がくるのではないかと考えています。


 以上で、今回の市民調査の報告を終わります。










以下は、平成26年2月15日付で掲載した関連記事です。



事務局より   平成26年2月15日
 
   平成26年2月15日(日)、名古屋都市センターで開催された
  第13回堀川1000人調査隊会議で発表された、第14ステージの市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

        ⇒PDFデータのダウンロードはこちら



P1 第14回調査隊会議では、第14ステージ(平成25年9月〜12月)
  までに蓄積された3,300件を超える定点観測データを分析した
  結果が報告されました。

   調査隊事務局から報告された内容を下記にご紹介します。






P3
  木曽川導水が止まったのが平成22年3月、停止後2年間の
   観察期間が終わったのが平成24年3月。

   このとき開催した第10回調査隊会議で、これから私たちは
   何をして行くべきなのか、これを皆さんで確認しあいました。
  
   それをベースにして今日の日があることをまずもって確認して
  おきたいと思います。

    (詳細は左記のオレンジ色の枠内をご覧ください)



P4  ここには、これまでにわかってきた、堀川の汚染のメカニズムなどが
  整理されています。

   ピンクの枠内をご覧ください。

1. 水の汚れの主な原因は家庭や工場や店舗などからの排水です。

2. 植物プランクトンの繁殖の元(窒素やりん)は家庭や工場や店舗などの
  排水に含まれています。

3. 汚れた水は下水処理場(水処理センター)で処理されてから放流されますが、
  たくさん雨が降ると汚れた水がそのまま放流されることもあります。

4. 堀川では、赤潮や青潮のようになる時がありました。

  名古屋港や堀川の下流域では、植物プランクトンなどが
  増殖と死滅を繰り返すことで水域がさらに汚れるといわれています。
     (いわゆるへどろのもと)

5. ヘドロが浮かび上がったり、巻き上がったりするときがありました。


緑色の部分には、感潮域における堀川の特徴が書かれています。

   堀川では、潮の干満によって、堀川の水位、流れの向き、速さが変化し、
  これが堀川の水環境に大きな影響を与えるとともに、実態解明を難しく
  してます。


青い部分には、堀川の水源について書かれています。

    庄内川からの暫定導水
    水処理センターの放流水
    地下水(井戸水)等






P5  堀川を愛する人の輪を広げる活動について
   
   堀川応援隊を含めた堀川1000人調査隊のネットワークは、
  51,000人を超えるところまできました。

   木曽川上流域の方々との交流で、名古屋市の地域以外にも
  堀川を愛する人の輪を広げていっています。



P8  皆さんの調査で蓄積したデータ数は、第14ステージまでの約7年弱で
  3,300件を超える膨大なものになってきました。

   これによって、本日これからご説明するように、堀川の実態解明に大きく
  肉迫することができています。

   こうした長期にわたる大規模で地道で、官と民が協力して続けている活動は
  おそらく全国でも事例がないと思います。

   
P13 さて、今回の第14ステージで、まずもって特筆すべきことは、
   14ステージの気象条件です。

   第14ステー(25年9月〜12月)の気象は、10月中旬まで気温が高い日
  (真夏日と夏日の記録を更新した)が続きました。

   11月になると寒気の影響で平年値よりも一気に気温が低くなりました。

   また、低気圧とそれに伴う前線や台風の影響で、雨がたくさん
  降りました。

   特に9月4日 名古屋市内の複数の地点で時間雨量100o以上の
  大雨で、名古屋市全域に避難準備情報が出されるほどでした。


   この第14ステージでは、前年の第12ステージとくらべて、
  水の汚れの印象がおおむね良い(きれい〜どちらともいえない)が
  多くなりました。

   そしてその評価の尺度として約6割が、堀川の色で評価していました。

   その水の色、は、濃い色が多くなりました。

   これが大きな特徴で、なぜそういうことになったのか、ということを
   このあとでご説明します。


    また特に第14ステージで顕著な傾向が出たのが、「あわ」と「におい」と「色」
   でした。


    特に「あわ」については、「川底から浮いてくる」という報告が1件も
   ありませんでした。


    また「におい」については、「ひどくにおう」という報告が1件も
   ありませんでした。



    この、「あわ」と「におい」については、堀川の川底に堆積してい
   「川底の泥」の状況に関係している
と事務局では考えています。


P14  具体的には、9月4日の記録的な大雨によって、川底の泥の
   表層部分が流出した
(流されてしまった)こと、

    それから、名古屋市の新たな水質改善施策(雨水貯留施設など
   合流式下水道の改善)によって、この第14ステージは、大雨で
   一時的に川底の泥の質が改善し、水質改善策でその状態が
   継続していた
ものと事務局では考えまています。


    なお、特記すべきは、この状態が、第6ステージのデータ、
   つまり木曽川導水3年目の秋~冬の状況、つまり木曽川導水によって
   改善された川底の状況と似ていることです。

    言い方をかえると、導水はとまってしまいましたが、集中豪雨などが
   原因となって、導水による川底の改善効果と同じような状況が
   第14ステージで出現したのではないか、いうことです。

    そしてこのことで、たとえばもし木曽川導水が続けられるなりして、
   堀川の川底の質が改善された場合に、堀川はどうかわるか、
   特に、「あわ」と「におい」がどのように改善するのか、という想像(予想)を、
   より現実的なものとして考えることができるようになった、ということです。


    導水実験は残念ながら3年間でとまってしまいましたが、導水3年目の
   秋から冬には、堀川ではほとんど泡が浮いてこない、ひどくにおうということが
   ほとんどない、という良い状況になり、導水が止まってまた、一旦元の状態に
   戻ってしまったけれども、もしあの導水がそのまま何年も続いていたら、
   少なくとも秋から冬にかけての堀川は、泡もひどいにおいも全くない堀川に
   なっていたのではないか、そういう可能性を感じさせられます。

    第14ステージでは、たまたま発生した集中豪雨によって私たちは
   堀川の再生の可能性をみることができた、それが本日の報告の主たる内容に
   なります。

P15  ここでは、第14ステージに堀川が濃い色に見えた理由について
  考えています。
 (P75にも拡大図あり。参照してください)

 そのメカニズムについて、事務局では次のように考えています。

  9月4日の記録的な集中豪雨

⇒堀川の川底に堆積してヘドロと化した川底の泥の表層の部分が流される

⇒干満によるヘドロの巻き上げが少なくなる
⇒低層部、底室が貧酸素にならなくなる
⇒青潮が減少する
⇒堀川の水の濁りが少ない状態になった、と考えることができる。

  堀川の水が、濁りが少ない状態(透明度が高い状態) 
  かつ、川底が黒い状態 

    ⇒濃い色が増えた理由ではないか、と考える

  (例えて言うと、底の色が黒っぽいプールに、きれいな水をいれた状態)



P16 ここでは、第14ステージのあと、1月18日に城北橋〜金城橋付近で
  発見された大量のボラについて述べています。
 
  参考までにP89の資料もご覧ください。
 
   平成20年にボラがあがってきたときは気が付きませんでしたが、
  21年にボラがあがってきたときには、中流の錦橋付近でも、
  大量のボラが遡上する姿がみられました。

   しかし今回は、錦橋では発見されず、もっと上流部でいきなりはじめて
  ボラの遡上に気がつきました。

   ボラに聞いてみないとわかりませんが(笑)、ひょっとしたら、
  今年は堀川の低層部や川底の状態がよかったので、ボラが、
  表層でなく、深いところを移動してきたのではないかとも思われます。


   ということは、納屋橋・錦橋付近も、21年と比べて、26年は堀川低層部の
  水質と川底の状態が良かったのではないかと推測できるのではないかと
  考えるわけです。 



P17
 第14ステージの気象の状況を、あらためて天気図で
    確認しておきます。

       9月4日 集中豪雨

       9月16日 台風18号

       10月    高温の記録を更新
       10月15〜16日 台風26号

       10月20日 一日の雨量83o

       11月 寒気の流入で一気に冬に。



P18 気温の変化についても確認しておきます。

  紫が平成25年 オレンジが24年、オレンジの点線が23年です。

  8月と10月に前年より高く、11月からは前年より低くなっていることが
 わかります。



P26
  ひとつずつ見ていきます。

  まず水の汚れの印象について

  これまでの7年間のデータで、中流の松重橋〜上流の城北橋にかけては
  堀川の中でも水の汚れの印象が悪い区間であることがわかります。

  ただし、14ステージ(一番右の青緑色のグラフ)に限って言えば、
  前年よりもやや改善していることもわかります。




P28
 秋から冬の水の汚れの印象にみてみます。

 導水期間中の2年目は印象が改善しましたが、3年目は悪化しました。

 導水停止後は横ばいでした。

 しかし昨年第12ステージは気温が高かったりして川底が貧酸素状態になり、
 青潮が発生するなどして印象が悪化しました。

 そして今年、改善しています。

 これは、気象条件、特に集中豪雨が影響していると事務局では考えています。



P33
 このページは、皆さんが堀川を見てきれい、とかきたない、とか
   評価するときの基準(尺度)の傾向をみたものです。


    木曽川導水停止後の第8ステージから第14ステージにかけて
   「色」で評価するケースが増えています。(グレー)

    反対に減った基準は何かというと、オレンジの「ゴミ」です。


    特に、第14ステージは62%が色で評価をしています。


    実は、木曽川導水最後の年、第6ステージでも、60%が色で評価
   しており、興味深いことに、ほぼ同じ値となっています。


    堀川の色は、青潮の発生、赤潮など植物プランクトンの発生、
   川底の色などの影響を複合的に受けるので、水の汚れの印象と、
   水の色についての関係は、もっともっとデータを蓄積して分析する必要が
   あると考えます。





P57
 ここではあわについてみていきます。



















P58 導水最後の年 第6ステージにあわの状況は改善しましたが、
 導水停止後の第7ステージに向けて悪化しました。

 その後、名古屋市の施策、堀川右岸滞水池の稼働開始による
 合流式下水道の改善などが効を奏して、改善傾向にありました。

  しかし、第12ステージは気温が高く貧酸素、青潮が発生して悪化してしまいました。
 いわば気象の変化が堀川浄化の施策の効果を打ち消してしまいました。

  ところがまた今年、第14ステージでは大幅に改善しました。


  特筆すべきは、第14ステージでは、川底から浮いてくるあわの報告が
 ゼロであったことです。


  これは、木曽川導水3年目の第6ステージと今回の第14ステージだけです。


  今年は9月日の大雨によって堀川の川底が改善され、導水の継続による改善の
 効果がみられた第6ステー(じわりじわりとよくなった状態)と同じような状況が
 一変に生じた可能性があると事務局では考えています。



P59 区間別にみると、いつも泡底からの泡の発生の多い、
  朝日橋〜松重橋区間で、今年は川底からのあわの報告が
  ゼロになりました。

  また松重橋〜大瀬子橋の下流部でも川底からの泡がゼロでした。
 
  これも、第6ステージと同じ結果でした。



P62 さきほどもお話ししましたが、もういちどおさらいします。

  
ここでは、第14ステージに堀川が濃い色に見えた理由について
  考えています。


 そのメカニズムについて、事務局では次のように考えています。

  9月4日の記録的な集中豪雨

⇒堀川の川底に堆積してヘドロと化した川底の泥の表層の部分が流される

⇒干満によるヘドロの巻き上げが少なくなる
⇒低層部、底室が貧酸素にならなくなる
⇒青潮が減少する
⇒堀川の水の濁りが少ない状態になった、と考えることができる。

  堀川の水が、濁りが少ない状態(透明度が高い状態) 
  かつ、川底が黒い状態 

    ⇒濃い色が増えた理由ではないか、と考える

  (例えて言うと、底の色が黒っぽいプールに、きれいな水をいれた状態)





P63
  においについても、あわとまったく同じ傾向が見られました。


 すなわち、木曽川導水中に、においが改善していましたが、
導水停止後の第7ステージに、いったん悪化しました。

 その後、合流式下水道の改善などの効果によって、改善傾向が見られましたが、
第12、13ステージでは、気温が高く、川底が貧酸素状態になったと考えられ
悪化しました。

 そして第14ステージでは大幅に改善しています。 


 特に第14ステージでは、ひどくにおう、という報告がゼロでした。
これは第6ステージと非常によく似ています。




P64 区間別でみても、あわと臭いは同じような傾向が見られます。

 左下の朝日橋〜松重橋区間では第14ステージは大幅に改善し
ひどくにおうがゼロになりました。

 これは第6ステージと状況が似ています。

  松重橋〜大瀬子橋の下流でも同じような状況となっていました。

P66
  実は、川底からのあわとにおいの相関関係については、
   前回9月の調査隊会議で次のように報告されています。


 川底から泡があるとき、臭うというケースは86%
 川底から泡がない時は、臭うというケースは59%

  このように、においは、あわがあるときに多く発生していることが
 わかっています。


  なお、過去の調査隊会議で、川底からのあわの発生は、
 潮の干満による水位と流速の変化(おもに大潮など潮まわり)にも関係
 していると報告されています。


  そのメカニズムは次の通りです。

  干潮で水位が低くなると水圧が低下して川底から押さえつけられていた
 あわが解放されてあがってくる

  流速が速くなると、ヘドロの巻き上げであわが解放されてあがってくる。

  こういうことがわかっています。


 つまり、あわは、川底の泥の質が悪化すると蓄積が進み、潮の干満や、
大潮などの潮まわりによる流速の変化であがってくる。

 あわがあがってくると堀川がにおう。


 そういう、よく考えてみれば当たり前に見える理屈ですが、皆さんの
地道な努力で、営々と蓄積したデータの裏付けで、そう言い切ることが
できるようになってきたことは、堀川1000人調査隊の皆さんの、とてつもなく
素晴らしく立派な成果であると思います。

心より敬意を表します。



P67  堀川でにおいが目立つ場所のデータでも、あわとにおいの
   相関関係がわかります。
  
   中流域では、においの目立つ地点は、川底からのあわの発生が確認されて
  いる地点と、おおむね合致しています。

    熱田記念橋〜住吉橋
    納屋橋〜伝馬橋
    景雲橋〜朝日橋



P71
 ここには、これまで堀川に出現した色が並べてあります。






P74
 第14ステージで出現した色には、非常に大きな特徴があります。

  それは、灰黄緑色、濃い灰色などがぐっと増えたということです。

  前年の第12ステージでは淡い灰黄緑色など、比較的明るい色が
 多かったのと、大きな違いがみられました。

  その理由について、次のページで考えてみました。



P75
  第14ステージに濃い色が増えた理由について

  第10ステージと、12ステージを比較すると、大きな違いは気象条件です。

  12ステージは10月中旬まで気温が高い状態が続き、堀川の低層の
  水(塩水)は貧酸素の状態が続き、白濁した青潮の状態(硫黄コロイドの増加)
  になりやすかったと考えられます。


   上流から流れてくる透視度の高い淡水と、その下の白濁した低層の水
  (塩水)で2層化した堀川を橋などの上から見ると、水の色が淡い色
   (白っぽく明るい色)に見えたのではないかと考えられます。



   第14ステージでは、9月4日の集中豪雨などによって堀川の川底に
  堆積してヘドロ化していた川底の泥の表層部分が流された。

   ⇒潮の干満によるヘドロの巻き上げが減少、
     堀川の低層が、貧酸素にならなかった

   ⇒青潮の発生が減少、堀川が、水の濁りの少ない状態になっていた

   というメカニズムが働いたのかもしれません。


    事実、調査隊の皆さんの調査では、川底からのあわの発生が、
  第14ステージでは、ほとんどみられませんでした。

   ⇒堀川の水の透明度が高い状態(濁りが少ない状態)になって、
    橋の上などから堀川の色を観察した時に、川底に堆積している
    ヘドロなどの川底の色(濃い灰色)が影響して、水が濃い色に
    見えたのではないかと考えられます。



P76 これを裏付ける一つのデータが、鯱城・堀川と生活を考える会25期の
   近藤佑輔さんが実施した、堀川の透明度調査です。

   この調査は、10月14日と11月23日の2回にわたって実施されました。


   調査の内容は次のようなものです。

   直径30cmn白い円盤に目印をつける。
   ロープを付けておもりでしずめてゆく。
   その目印がどこまで見えるか、ということで堀川の透明度を調べたものです。



   通常私たちが実施している1mの透視度計ではかる透視度調査では
  表層の水をバケツで汲んで調べますので、検体そのものは表層の水です。

   また調べられる透視度も1mが限界です。


   この近藤さんが実施された透明度調査は、もっと深い川や海の透明度を
  みるための手法です。

   検体も表層だけでなく、垂直方向に調べられますので、実際の透明度を
  数値化することができます。

   10月14日と11月23日に桜橋〜御陵橋までを連続調査されましたが、
  特に11月にはほとんどの地点で透明度が2mを超えていました。

   御陵橋では4mを超えていたことがわかります。

   第14ステージの分析を裏付ける貴重なデータとなりました。

P77 名古屋港の海水の状況と、今年の堀川がきれいなこととの関係について

  当初、事務局では、今年の堀川がきれいなのは、きっと海の水、
 つまり名古屋港の海水が、例年と比べてきれいだったからではないか、
 きれいな海水が遡上してくるから、堀川がきれいにみえるのではないかと
 思っていました。

  そこで名古屋港の水質の状況を名古屋市のHPで調べてみました。


   すると、透明度に関しては、P77の下のグラフのとおり、
  第12ステージと第14ステージで、際立った差は見られないことが
  わかりました。

    ガーデンふ頭の海水の表層水、中層水の透視度についても同様に
   目立った違いはありませんでした。

   それなのに、堀川の水は、去年と今年でまるっきり違っています。


   ということは、海水の影響で堀川が変化したのではなく、堀川自体に
  変化の原因があると考えるべきだということになります。



   ですから、本日これまでご報告してきましたように、第14ステージの堀川は
  集中豪雨や、気温の急変といった気象的要素で、堀川の川底や、深い水塊が
  貧酸素の状態にならずにすみ、結果として水質がよくなり、においも泡もない、
  そして川底までくっきりと見える透明度の高い川になっていたのではないか、
  そのように推測できる、というのが本日の結論です。




   さらにその状態は、3年間の木曽川導水によってじっくりと堀川の川底が
   改善していたときの状態と酷似していること。

    もしも、もしも、あの導水がそのまま継続していたならば、ひょっとしたら
   もっと早く、堀川の水環境が大幅に改善していたのではないか、と思われて
   ならないわけです。

    3年間で終わってしまった導水が、もし継続していたならばどんなだったろうか。


   これまで、「見てみたい」と念願していた姿が、たまたま出水そのものは
  不幸なことでありましたが、それによって、夢にまで見た、導水が継続していたときの
  堀川の様子を、垣間見ることができた、というわけです。


   この先、15ステージ以降、また堀川は元の状態に戻り、そして下水道の改善などの
  効果で少しずつ改善してゆくのかもしれません。

   それが、次の15ステージ以降で私たちが検証してゆくテーマになってきます。

 
   しかしながら、止まってしまった導水の社会実験が、ぜひ一日も早く復活をして
  ほしいと、個人的には強く願う次第です。







P85 
最後に、最近のボラの大量遡上と、庄内川からの導水の効果について
   ご報告したいと思います。


















P86
 1月18日、朝、梅本会長が犬の散歩をしていたときに、城北橋付近に
  ボラの大群が遡上しているのを見つけました。
   梅本会長が第一発見者です。


  次に御用水跡街園愛護会調査隊の山田さんが、その日の午後、
 城北橋~金城橋付近でボラの大群をみかけ、連絡を受けて私も現地でそ
 の様子を確認、中日新聞社が来て取材してくださり、19日の朝刊に記事が
 掲載されました。

  ホームページ上ではそこから堀川のボラ観察日記が始まりました。



P87 P88
 ところが1月22日の朝から、ボラたちが水面に顔をあげて苦しそうに
  しているのが写真に写るようになりました。

  23日の午前には北清水橋から志賀橋付近で死骸が沈んでいたり
  浮いていたりするのが見られるようになりました。

   すぐ環境局さんに連絡をしまして、調べていただいたところ、北清水橋付近の
  溶存酸素DOの濃度が、通常は、8mg/Lあるところ、低層部では3.8しか
  なかったことがわかりました。


  あとで確認できたことですが、実は元入樋門で、川の中にはいって
 除草作業をするために、1月21日から23日まで庄内川からの導水を
 ストップしていたことがわかりました。



  私自身はそれは夫婦橋の工事のためと思っていましたが、実は
 元入樋門の作業のためだったそうです。


  そこで、1月24日から緑政土木局さんのご配慮で、庄内川の導水を
 朝から復活しましたところ24日午前中には、ボラたちが元気をとりもどして
 いるのが確認されました。



  後日、1月27日に環境局さんが北清水橋付近で溶存酸素DOをはかったところ、
 低層で23日には4を切っていたのが、8近くに回復しているのがわかりました。



  今回ボラが、あわや大量死か?という事態になったのは、一つは潮の干満で
 水位が下がり、ボラが、いわば満員電車の中で息苦しい状態になってしまったこと 

 それに加えて、一時的な導水ストップで溶存酸素を多く含んだ庄内川の水の供給が
 ストップしたことが重なったためと考えられます。


P89 実は木曽川導水中の平成20年と21年にもボラが大量に上がってきました。

  平成20年2月と3月には、新聞記事にあるようにボラが大量に死んでしまい、
  大騒ぎになりました。


  実はこのときは、大潮の干潮で、堀川の水位がぐっと下がったときと、本当にたまたま
 なのですが、鍋屋上野浄水場のメンテナンス作業で木曽川導水が停止されたことと
 庄内川の導水がアユの保護のため停止されたことが重なったことが原因で、
 大量のボラが酸欠死したと考えられています。


  そこで平成21年には、ボラが遡上した下流側の城北橋に年末から土嚢を積んで
  城北橋の上流をちょっとしたダムのようにして、干潮になっても水位が下がらないように
  工夫をしました。

  その結果、21年にはボラは死ぬことなく海に帰ってゆきました。


   今回は、こうした過去の経験から、早く状況をとらえて対策を打ち、堀川のボラの
  大量死を防ぐことができたわけです。

   でも、まだこれから3月にかけて大潮などで水位が下がると、ひょっとしたら、
  庄内川からの導水だけではボラは死んでしまうかもしれません。


   生きものを通して、堀川を見る、というよい事例になったのではないかと思います。

   こうした点も、これから注目していただければと思います。



  以上で事務局からのご報告を終わります。










以下は、平成25年9月25日付で掲載した関連記事です。



事務局より   平成25年9月29日
 
   平成25年9月29日(日)、名古屋都市センターで開催された
  第13回堀川1000人調査隊会議で発表された、第13ステージの市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

        ⇒PDFデータのダウンロードはこちら

       
P1 第13回調査隊会議では、第13ステージ(平成25年4月〜6月)
  までに蓄積された3,000件を超える定点観測データを分析した
  結果が報告されました。

   調査隊事務局から報告された内容を下記にご紹介します。







P3  木曽川導水が止まったのが平成22年3月、停止後2年間の
   観察期間が終わったのが平成24年3月。

   このとき開催した第10回調査隊会議で、これから私たちは
   何をして行くべきなのか、これを皆さんで確認しあいました。
  
   それをベースにして今日の日があることをまずもって確認しておきたいと
  思います。
P7 今日、皆さんにお話しできるポイントは次の点です。

 1.皆さんが蓄積してきた6年半の調査データ数が3,000件を超えました。


  これはおそらく、全国的に見てもかつて例がないことだと思います。

 その結果、今日皆さんにご報告できるように、今までデータ数が少なくて
 できなかった、月別のデータ整理、区間別のデータ分析、大潮・小潮別の
 データ整理などが可能になってきました。

  また、堀川の地形や地球温暖化などの気象条件も皆さんの調査結果に
 反映されていると考えられるようになってきました。

  そこから、私たち市民が肌で感じてきた堀川の実態を、データに基づいて
 科学的に説明することができるようになってきました。

  これはすごいことだと思います。


P8 ついでに、今日お話しさせていただくことになる、キーワードになる
 橋の名前を申し上げます。 チェックしておいてください。 


  瓶屋橋、松重橋、 朝日橋、城北橋、猿投橋

  新堀川では下流から熱田橋、大井橋、記念橋、ウズラ橋です。


2.このあと報告させていただきますが、堀川の一番ネックになっている
 場所が朝日橋から松重橋付近まで、そしてその原因が堆積している
 ヘドロと密接な関係がありそうだということ。


  ここで先ほど名古屋市から説明のあった、堀川まちづくり構想や
 ヘドロ対策と話がリンクしてきます。


3. 堀川と関連がありそうだと考えられながら、これまでほとんど
  データがなかった、新堀川についても、こちらにみえる
  鯱城・堀川と生活を考える会の皆さんや、NTT西日本調査隊の
  皆さんの調査活動で、データが集まりはじめ、その実態が、
  少しずつわかるようになってきました。


 以上の3つの点について、これからご説明をしたいと思います。



13ステージの調査報告のポイントについて

  まず、ことし4月〜6月の13ステージの調査の結果についてご報告します。

P15 13ステージの特記事項が P15にかかれています。
 
























P16   昨年よりも気温が高かったこと


    
P17  降水量が少なかったこと  P17 上 

     日照時間が長かったこと  P17 下











P18  れまでの調査隊会議でもご報告してきた、これまでわかって
    いることをまとめたのが、P.18の図です。

堀川の汚れの主な原因は、家庭や工場や店舗などからの排水。
 (窒素;リン)を含んでいて植物プランクトンの繁殖のもと。

合流式下水道の弱点、たくさん雨が降ると、下水処理場に到達する前に
生活排水が雨水と一緒に堀川に流れ出てしまう。

名古屋港や堀川下流部では、植物プランクトンなどが増殖や
死滅を繰り返すことによって水域がさらに汚れるといわれている。

事実、下流部で発生した赤潮や青潮が堀川に遡上してきて
堀川が赤くなったり白くなったりしているのが記録されている。

今回の13ステージのデータはは、気温・降水量・日照時間の変化が
そこに大きく関係していることを示していると思います。
P20 ひとつずつ見ていきます。

  水の汚れの印象について区間別に見たものが P20です。

  各区間ごとに時系列的に棒グラフで示されています。

 これまでの6年半の調査で、堀川で水の汚れの印象が悪い区間が
 はっきりしてきました。 城北橋〜松重間
P21 時系列でみてみたのが  P21の図です。


  特に猿投橋から下流に向かって城北橋の間は、木曽川導水停止後
  いったん悪化したものの、その後、改善の傾向が見られます。

  これは、名城水処理センターの高度処理の導入、堀川右岸滞水池が
  完成したこと、守山水処理センターの下水再生水が夏場に導水されて
  いることがきいている、と考えられます。




P22 その評価基準は、第9ステージ以降、皆さんが「色」で評価している
  ことがわかります。

   ただし、城北橋より下流の区間ではそのはっきりした効果がまだ
   あらわれていないともいえます。
P25 同じことが透視度でも言えます。 


  
P29 しかしながら、CODについては、いずれの区間でも顕著な変化が
  みられず、下水処理の高度化などの施策が、CODについては
  効果があまり出ていないということがいえるかと思います。 


P31 P32 P33  P34

   
あわについてしめした図が P32です。


  第12ステージ(去年の秋〜冬)、そして第13ステージ(今年の春〜夏)は
 これまで改善傾向にあったあわの発生頻度が増加(悪化)しています。

   要因として、P33去年に9月(P33) そして今年の5月から6月(P34)
   に気温が高かったことが考えられます。


  気象条件の変化が、名古屋市の施策の効果を打ち消してしまうほど
 影響力が強い、といえるかもしれません。

  
   あわの発生のメカニズムを整理したのがP31です。


   あわには2種類 
      硫化物からでるあわ、硫化水素(卵の腐ったにおい)
      そしてメタンガス(においはない)

       ⇒硫酸イオンは海水に含まれていると考えています。

  いずれにしてもヘドロの中にいる、硫酸還元菌、メタン生成菌
  どちらも酸素がない環境を好むのですが、気温が高くなると
  菌の活動が活発になり、あわが増加します。


  そして、大潮、引き潮などで水位が低くなると、川底にかかる
 水圧が減ってヘドロの中に発生した泡がぶくぶくと出てきやすくなります。

  逆に 満潮になると泡は出にくい、ということでもあるはずなので、
 そうしたところもこれからよく観察してデータで立証できるとよいと思います。
P37 
  
続いてにおいについてですが 
  においについても、あわと同じことが指摘できました。

  P37下の図をご覧ください。

 最初3年間の導水中、改善傾向にあった「におい」が、導水停止後
いったん悪化し、その後はまた改善傾向にありました。

 しかし12ステージ、昨年の秋〜冬、そして今年の13ステージ
すなわち春から夏にかけてはひどくにおうケースが多くなっています。

 12ステージ、13ステージににおいが増加したのは、平年よりも
気温が高い期間があり、川底のヘドロの状態がよくなかったことが
影響したと考えられます。
 
P39

   
P39をごらんください。
   これはあわとにおいの関係をグラフ化したものです。

   左側が、川底のあわがあるときに、においを感じた割合。
   右側が、あわがないときに、においを感じた割合です。

   においは、泡があるときに多く発生していることがわかります。

   その下、真ん中の写真をみてください。
   大潮の干潮で水位が低下して、しかも流速が速くなり、ヘドロが
  まきあがって泡が浮上している典型的な写真です。






























P41

   
P41は、堀川のにおいの種類を表にしたものです。

   下の図は、猿投橋から下流の港新橋までを、左から時系列的に
  ならべたものです。

   どぶの臭いとヘドロの臭いというのは区別しにくいのですが、
  この両者をたしたものが、約8割をしめていることがわかります。
P43  P44

 次に堀川に出現した色についての今年の特徴です。

 P44をご覧ください。

 各色別に左から@無色からN緑褐色まで並べてそれぞれ時系列的に
グラフにしています。

 紅色が今年13ステージのグラフです。

 第13ステージは、Jの濃灰色とNの緑褐色など、やや暗めの色が
多くなりました。
P46

 P46をご覧ください。

 一番右が、13ステージのグラフです。
黒っぽい色であらわされていますが緑褐色や、濃い灰色が
非常に増えていることがわかります。

 最初に申し上げましたが、特に今年は気温が高かったこと、
降水量が少なかったこと、日照時間が長かったことが特徴ですが、
こうした条件の中で、 今年は「ヘドロ」が堀川の色について、
影響を与えていた可能性が考えられます。
P47

 
P47をご覧ください。

 これは、堀川の色の出現の仕方のメカニズムを考えたものです。
第13ステージのところを見てください。

 第13ステージは気温が高く、雨が少なく、日照時間が長かった
ことにより名古屋港で赤潮の発生が確認されました。

 この名古屋港からの海水が、干潮の時に堀川に上ってきます。

 この色が場所によって、「緑褐色」に見えたのではないかと思われます。

 またもっと上流部では、大潮の干潮時間帯(お昼頃)にはヘドロが
まきあがるため、堀川が濃灰色になることがあるようです。
P78

ここでちょっと一気に話を飛ばしますが、78Pをご覧ください。

これは、平成16年5月に行われた汽水域の河川環境のとらえ方
に関する検討会というところでまとめられた、いわゆるヘドロの
堆積のメカニズムについてかかれた資料です。

 ちょっと読んでみます。

 懸濁態物質の堆積

  河川の上流域や汽水域から流入してくる淡水には、懸濁態の
 有機物や栄養塩が豊富に含まれている。
  それらは、海水と淡水の混合による凝集沈殿や、密度流による
 下流の流速の減少によって、汽水域に堆積しやすい。


 写真は、5年前の第3回調査隊会議で、ビデオ班の坂さんが
撮影したビデオからカットした写真です。

 納屋橋付近の堀川の川底ですが、ふわふわしたホコリのような
懸濁物質がこのあたりにたまっていることがわかります。


 このあたりが、堀川の場合の汽水域、懸濁態物質がたまりやすい
場所に相当するのではないかと考えられます。

 今年私も納屋橋の船着き場のところで、恵那農業高校の生徒
さんたちが、ヘドロの中に棒状の物差しを差し込んでヘドロの深さを
測った場面に立ち会いました。

 今年のヘドロの深さは船着き場あたりで何か所か測って
平均110cmでした。去年は160cmでした。

 物差しをいれると、川底にふわっとした感じで着地し、
簡単にしばらくの間、ずぶずぶっとものさしがはいっていきます。

 そして、そのあとぐっと力をいれないとはいっていかない層にあたり、
そこからずぶずぶとまた物差しがはいっていきます。

 引き抜くと物差しは真っ黒になってあがってきて、同時に大きな泡が
ぶくぶくと出てきます。

 上のほうのふわふわしたホコリのようなヘドロの下に、
真っ黒なヘドロがあって二重の構造になっていることがわかっています。





P79

 
次の79Pをご覧ください。

 これが、今日まで6年半、3000件をこえる皆さんの調査でこれまでに
わかってきた堀川の現状と汚れのメカニズムです。

 最初にポイントとなる橋の話をしました。

 左側が下流の名古屋港です。
そこから右のほうにさかのぼってくると、水深が浅くなり始める場所、
ここが瓶屋橋付近です。

 ご存知の方も多いと思いますが、白鳥の桟橋付近と比べて、
この瓶屋橋あたりで堀川はぐっと川幅が狭くなり、また浅く
なっています。

 ヘドロの掘削が、まだ進んでいない場所にはいってくるのです。

  そして松重橋〜朝日橋の間では、ヘドロの巻き上げや、
特に五条橋や幅下橋などの上流のほうでは、ヘドロの干潟が
露出する場所が見られます。

 このあたりが、前のページでご紹介した潮の先端部にあたり、
ヘドロが生成し堆積しやすい場所なのではないかと考えられます。
      (右下の写真がその状況です)

 真ん中あたりの文字のところをみてください。

 水の汚れの印象が悪いのは、松重橋〜朝日橋付近
 川底からのあわが多いのも同じ区間。
 においの発生がおおいのは、朝日橋〜松重橋 
 もう少し下流の大瀬子橋

 浮遊ゴミが多いのは松重橋〜大瀬子橋

 そしてヘドロの巻き上げと露出が多いのが朝日橋〜松重橋
であることが、皆さんが集めた3000件のデータでわかってきたのです。

     
 堀川を何とかするためには、ここにメスをいれなければいけないことが
よくわかります。
    
 でも現実には、一番最初に名古屋市さんの施策の説明であったように
堀川は護岸整備が下流から順番に進められており、約20年計画で
このあたりが整備されてくるまで、インフラの整備にはまだかなりの時間が
かかります。

     
 そうしたインフラが整備されるまでの間、少しでもこの状況を何とか
できないか、私たちにできることは何なのか、それを行政と市民が
一緒になってみんなで考えてゆきたいというのが堀川1000人調査隊の
この調査隊会議であり、最初にご紹介された堀川まちづくりの会で
あると思います。

 P79が、もう少しそれを整理したものです。
データ数が3000件を超してわかってきたこと

1. 月別・区間別の評価が可能になったこと。



P58

  これは、その日の堀川を見て、きれいから、せめてどちらでもないという
  よい評価をした件数のグラフです。

朝日橋〜松重橋の水の汚れの印象は、年間を通して悪いことがわかります。
 
特に春先2月3月と、春=初秋の5月〜9がつまでが悪いことがわかります。

 
その下の松重橋から瓶屋橋では、12月から2月までは比較的きれいな
ことが多いのですが、春から夏にかけては印象が悪いことがわかります。

  
 
P60 

 その印象を評価しているポイントですが、上のグラフ、朝日橋〜松重橋の
区間、下のグラフ、松重橋〜瓶屋橋の区間とも、年間を通してグレーで
しめされた「色」で皆さんがきれいとか、きたないというのを評価している
ことがわかります。

 それが夏になると、黄色で示された臭いで評価しているのがわかります。

 気温が高くなるとくさい、というのがここにも表れてきています。
P62 

透視度をみてみると、上のグラフの朝日橋〜松重橋、
下のグラフの松重橋〜瓶屋橋ともに、10月から12月までは
許容範囲ですが、それ以外は満足できない値になっていることが
わかります。



P64

CODについて

 朝日橋〜松重橋については3月から10月までCODが高いようです。

 松重橋〜瓶屋橋については6月と8〜9月がCODが高くなっていることが
わかり、下流のほうが、微妙にCODが低くなっています。
















P66 

大潮と小潮のときの堀川全域のデータ数で、水の汚れの印象を
みたのがこのグラフです。


 大潮の時も、小潮の時も、全体の平均値でみると3月〜9月
くらいまでの間が印象が特に悪いことがわかりますが、
大潮と小潮での差はでてきませんでした。


しかし、これを季節別・区間別でみてみると、少し違った結果が
でてきました。
P67 

 これは、春から夏にかけての区間別のグラフです。

 大潮の時には、下流からみて瓶屋橋〜松重橋で最も印象が悪く、
上流に向けて少しずつよくなっています。
  
 しかし小潮の時は、瓶屋橋から猿投橋までまんべんなく悪い状態に
なっています。




P68

 これは秋から初冬にかけての区間別のグラフです。

 大潮・小潮とも、夏場よりは印象そのものは悪くないのですが、
小潮の時には、より上流部の朝日橋〜城北橋が、下流よりも
状態が悪いという結果が出ました。 


この原因については、私のほうではよくわからないのですが
もし皆さんで心当たりがありましたら、ぜひ教えてください。
もうひとつ非常に興味深いデータをご紹介します。

P69をご覧ください。

堀川は、朝日橋を境にして上流と下流で、皆さんの堀川の評価の
ポイントが変わっているということです。


 夏場の大潮のときには、朝日橋より下流になると、「ごみ」と「におい」で
評価する割合が一気に多くなっています。

 朝日橋より上流では、大潮でもあまりにおいが気にならない、
ともいえるのかもしれません。

 朝日橋より上にはゴミもあまり遡上してこないのではないかと
思われます。



 逆に、小潮の時は、朝日橋より下流では、においをあまり意識
していません。

 透明感で評価する人も少なく、もっぱら「色」で評価しています。



 朝日橋より下流では、全般的にきたないと感じている場合が多い
のですが、大潮のときはごみとにおいが気になる、小潮の時は
色が気になる、ということが言えるのでしょうか。

 皆さん、どのように感じられますか?




 P70は、夏場のにおいについてです。

 黄色いのが、卵の腐ったにおい、いわゆる硫化水素のにおいですが、
大潮のときは朝日橋より上流でこの卵の腐ったにおいが目立ちますが、
小潮のときは、もう少し下流の松重橋〜朝日橋で卵のくさったにおいが
目立ち、朝日橋〜城北橋では、そういうにおいの指摘がありません。



P71をご覧ください。

 秋から初冬にかけては、少し様子がかわります。

 冬場については、大潮のときはやはり朝日橋より下流では、
ごみと透明感で堀川を評価する人が多くなっています。



 小潮の時は、もっと下流の松重橋〜瓶屋橋で「ごみ」や透明感で
評価する人が増えています。

においの種類については、夏と比べると卵の腐った臭いはあまり
多くなく、ドブの臭い、ヘドロの臭いが多くなります。


大潮と小潮では、小潮の時のほうが卵の腐った臭いを
松重橋〜朝日橋で感じていることがわかります。
新堀川の水質調査結果について


 新堀川のデータ蓄積は、NTT西日本さん、鯱城・堀川と生活を考える会
の皆さんが、1か月に約1度のペースでデータ蓄積が進んできました。


 まだまだ十分なデータ数とはいえませんが、それでも興味深い調査
結果がいくつか出てきました。


P73をご覧ください。

 下流から熱田橋、大井橋で鯱城・堀川と生活を考える会、
記念橋でNTTさんがデータを蓄積して、そのほか最上流部に
近いウズラ橋のデータが蓄積してきています。



 P74をご覧ください。

 紫色がきたない、肌色がややきたない、黄色がどちらともいえない、
薄緑色がややきれいです。


 下流の熱田橋では、ややきれい、どちらともいえないという
データがありますが、大井橋(東別院の東)より北では、
汚い、やや汚いという評価がほとんどです。


 透視度については、大井橋が最も低く、下流の熱田橋、
上流の記念橋のほうが高くなっています。



P75をご覧ください。

 CODの値は、下流の熱田橋が最も低く、上流に行くほど高く
なっています。

 まあそれでも熱田橋のCODでも14ですから、決して低くは
ありませんが・・・


 泡についてみると、熱田橋では泡はほとんど確認できませんが、
上流へ行くほど泡が多くなり、ヘドロの状況が、ひょっとしたら
かなり深刻なのではないかということを感じさせられます。


 においについても同じようなことがいえます。

 上流の記念橋・ウズラ橋では、ひどくにおうというときがあり、
ややひどくにおうもかなりあります。


 熱田橋では、におわない、という数値がかなり高いことも
注目点です。


 臭いの種類については、どぶの臭い・ヘドロの臭いが大半ですが、
特に上流部では硫化水素のにおい、つまり卵の腐った臭いが
目立ってきます。



P77をご覧ください。

 ウズラ橋、記念橋では、グラフでは肌色に表現されている、
乳白色、写真でいうと一番右の状態が見られました。


 これは、硫化物が還元されてイオウになり、白っぽくなっているようすで

 ヘドロの中にいる硫酸還元菌が活発に活動している様子がうかがえます。


 新堀川の最上流部は、堀留の下水処理場からの下水処理水が
主な水源になっていますが、この排水は比較的透明で水温が高いと
いわれています。


 この付近では、温かい下水排水が上のほうを流れ、下のほうは
海からの塩水が差し込んでいて川の水が二層にわかれていて、
しかもその塩水の酸素が少ないのではないかということも想像
されるのですが、まだまだデータ数が少ないため、これから
いろいろなことがわかってくるのではないかと思います。


 新堀川での調査活動も引き続きどうぞよろしくお願いします。





 最後に、私が見て撮影した、大潮と大雨が重なった堀川で魚が次々に
死んでゆく様子をP83にご紹介していますのでご覧ください。

 以上で事務局からのご報告を終わります。







以下は、平成25年2月23日付で掲載した関連記事です。


事務局より   平成25年2月23日
 
   平成25年2月23日(土)、名古屋都市センターで開催された
  第12回堀川1000人調査隊会議で発表された、第12ステージの市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

        ⇒PDFデータのダウンロードはこちら

        ⇒抜粋版(詳細説明付PDFデータのダウンロードはこちら


P1
 第12回調査隊会議では、第12ステージ(平成24年9月〜12月)に
   実施された市民の定点観測データ135件を、前年のデータと比較し
   分析した結果が発表されました。

















P2  堀川の水環境について軽くおさらいをしました。

P4
  昨年の第10回調査隊会議での決議事項をふり返りました。

 そのポイントは、次の通りです。

  調査隊の役割

 @堀川には、まだまだ時間をかけて調査を続けなければ
   わからないことがある。

   ⇒堀川の調査を継続し、堀川の実態解明、汚濁の原因を
    データで特定する必要がある。

    それによって、対策をたて、処方箋を描く。
    そして、官と民が力をあわせて、堀川の浄化・再生を目指し
   それぞれができることを継続する。

 A市民としてできること

    木曽川導水の復活を目指し、堀川を愛する人の輪をさらに広げる。

    木曽川・長良川・揖斐川など、流域の人たちと、市民レベルの
    交流を広げる。

    雨の日の生活排水に気をつける運動などを続け、
    家庭排水からの汚濁負荷を削減する実験を行い、
    その効果を確認して実行する。

  私たちの活動、行動は、趣味や自己満足に終わらせるのではなく
  堀川浄化に直接役立たせてゆくことが大切!!



P9
 コラムより、要点を抜粋します。


現在の調査隊の登録状況は、堀川応援隊を含め、
2,609隊、50,403人です。

 発足時が165隊、2,262人でしたので、堀川の浄化と再生を願う
市民のネットワークが大きく広がったことがわかります。


 定点観測隊は第12ステージ終了までの間に2,881回の
定点観測を実施しました。


 第12ステージでは新堀川での調査活動もはじまりました。

 これまでの調査で、堀川の猿投橋から下流区間(感潮区間)は、
潮の干満によって、水域の様子が時々刻々と変化していることが
わかってきました。


 また、定点観測隊がたくさんの観測(いろいろな場所、潮の状態、
時間帯に観測)をすることで、堀川の平均的な状態をとらえられる
ことができ、その変化の傾向がとらえられることがわかりました。


 そして、堀川浄化の社会実験の5箇年では、木曽川からの
導水による水質改善の範囲が概ね“猿投橋〜松重橋”間であった
ことを確認しました。

 また、この活動の期間にごみ(人工ごみ:プラスチック系など)が
減少したことを確認しました。

 清掃活動が活発化するなど、市民の意識が変化してきたものと

考えられます。

P10
 木曽川導水停止後は、新たな水質改善施策として、
名城水処理センターに高度処理が導入(平成22年5月)
堀川右岸雨水滞水池が供用を開始(平成22年9月)
新たな水源として、守山水処理センターの下水再生水の活用
が開始(平成23年8月)されました。

 全般的には導水停止後に改善の傾向が見られています。
これは新たな水質改善施策が実施されたことによる効果
考えられます。

 

P17 名古屋市による主な水質改善施策の実施状況は
   左の図の通りです。
P13 第12ステージの水質調査結果を左右した、
    気象条件について説明します。

P24
  第12ステージ(平成24年9月〜12月)の気象は、
    その前年の第10ステージ(23年9月〜12月)と比較して
    夏の暑さが長く続いたこと、9月・10月の降水量が
    少なかったことに特徴がありました。

P25
  市民調査隊が、その日堀川を観察したときの、「印象」に
    ついてまとめました。

    左は、毎年春〜夏(4月〜6月)に、堀川に比較的良い印象を
   もったデータを抜き出したものです。

    木曽川導水中の第1・第3・第5ステージに改善の傾向が
   見られましたが、導水のとまった第7ステージにはストンと
   印象が悪くなっていることがわかります。

    その後、第9・第11ステージにかけて、改善の傾向が
   見られることがわかります。

    これは、名城水処理センターへのろ過機の導入(高度処理)や
   堀川右岸雨水滞水池の供用が開始され、堀川への汚濁負荷が
   削減されたことが効いているのではないかと考えられます。



P26  一方、毎年秋〜冬(9月〜12月)のデータでは
    導水停止後は、堀川の印象は横ばいでしたが、
    第12ステージでは、極端に印象が悪化していることが
    わかりました。


















P46
  その理由を探ろうと、透視度の秋〜冬のデータを
     分析しましたが、透視度においては、それほど
     データの悪化は見られませんでした。


















P58
  また同様に、CODの秋〜冬のデータを
     分析しましたが、CODにおいても、それほど
     データの悪化は見られませんでした。

P31  そこで、第11ステージと第12ステージの違いを探して
     ゆくと、第12ステージでは、市民調査隊が、その日の
     堀川の印象を、「色」で評価している割合が増加している
     ことがわかりました。














P32  さらに詳しく見てゆくと、上段の「比較的きれい」な状態の
    堀川においては、「その根拠」を色で判断している人が
    増加する傾向
にあることがわかりました。

     また、下段の「きれいではない」状態の堀川においては
    5割以上の人が、「その根拠」を色で判断している
ことが
    わかりました。


    その結果、第10ステージと、第12ステージにおいて
   透視度やCODの結果があまり変わらないにも関わらず
   堀川の印象が大きく悪化したのは、「色」に原因が
   あるのではないか、という点に着目
してさらに調べを
   進めました。

P81
 調べてみると、第12ステージでは、

  G淡灰黄緑色が最も多く出現した色でした。

  次に多く出現した色が、H灰黄緑色でした。

P82 P83
 

  第10ステージと第12ステージを比較すると、堀川では
  
   緑色・灰緑色・緑褐色などの、「濃い色」が減少して、

    黄緑色・淡灰黄緑色・黄褐色などの「淡い色」が増加
   
していることがわかりました。

   
   定点観測隊の市民調査隊は、堀川からバケツで水を汲み、
  その水質を調査するため、透視度やCODをはかっています。

   しかし、その水は堀川の表層水を汲んでいるケースが
  ほとんどです。

   第12ステージは、前年と比べ降水量も少なかったことから、
  合流式下水道から流入する汚濁物質もそれほど多くなかった
  ことが考えられます。

   つまり、24年秋の堀川は、表層水に関しては、比較的
  きれいな状態を保っていたと考えられ、それは、P46、P58で
  示された、第12ステージの透視度、CODの調査データでも
  裏付けられています。



   だとすると、第10ステージと第12ステージで、これほど
  出現する色に変化があり、しかも白濁して淡い色に見えたのは
  なぜだろうか?



   そういう疑問から、事務局では、次のような仮説を立てて
  説明を試みました。

P84 85
 

  @堀川には、名古屋港から海水が遡上してきます。

    この海水には硫酸イオンが含まれています。

    一方、堀川の中下流部には、酸素が少ない環境を好む
   硫酸還元菌が主に底泥中に存在し、特に夏場の気温・水温が
   高いときには活発に活動していると考えられます。

  A硫酸還元菌が活動し、有機物を分解するときに、
   硫酸イオンが還元され、硫化水素が発生します。

    硫化水素は、いわゆる卵の腐ったにおいがしますから
   夏場の堀川の中下流部では、川の底から泡が発生し
   腐卵臭が発生している場面が多く確認されています。


  Bこの硫化水素が水の中で酸素、あるいは二酸化炭素+光と
    反応すると、「硫黄コロイド」が発生します。

    この硫黄コロイドが、堀川が白濁する要因ではないかと
    考えます。

    堀川では、P85右下の瓶屋橋の写真のように、真っ白な
    温泉のように白濁している状態が時々見られます。

    24年の秋から冬にかけてよく出現した「淡い色」は、
   その右隣の尾頭橋の写真のような光景であったのでは
   ないかと事務局では考えています。

    そのイメージを示したのがP86です。

    第12ステージでは、10月中旬まで気温が高い状態が
    続きました。


    このために、堀川の低層の水(塩水)は、貧酸素の状態が
    続き、白濁した状態(青潮:硫黄コロイドの増加)に
    なりやすかったのではないか
と考えられます。

    透視度が高い表層の水(淡水)と、白濁した低層の水
    (塩水)で2層化した堀川を、橋などの上から見ると
    水の色が淡い色(白っぽく明るい色)に見えたのではないか

    と考えられます。


P34
  ちなみに左の写真は、堀川で実際に撮影された写真です。

     最初日が照っていたのですが、急に雲がかかって日が
    かげったので、日照による「色の変化」がよくわかる写真と
    なりました。


     この日の調査隊会議の会場で、左の写真と右の写真の
    色では、どちらの堀川が汚く見えるか、という質問をしたところ
    左の、「淡く明るい色のほうがきたなく見える」という人が
    多くありました。

P70

  第12ステージの低層の水質がよくなかったのではないかという
 ことは、「あわ」や「におい」の指標でも裏付けられています。

   前年と比較し、堀川では、あわの発生が多くみられました。

P71

  あわが特に多く見られたのは、松重橋〜朝日橋の、
 いわゆる都心の区間でした。

P75

  調査隊が、においを感じた回数も前年よりも多くなりました。

P78

 川底からのあわがあるときは、あわのないときと比べて
においがするときが多いこともわかりました。

P63〜64


 左は、堀川を区間別に分けて、「汚れの印象」、「透視度」
「COD]の変化を並べたグラフです。

  63〜64ページは、春〜夏(4月〜6月)

  65〜66ページは、秋〜冬(9月〜12月)です。

  赤いグラフは、松重橋〜大瀬子橋の下流部です。

  黄色のグラフは、松重橋〜朝日橋のいわゆる都心部です。

  緑色のグラフは、朝日橋〜城北橋で、名城水処理センターの
   付近となります。

  青色のグラフは、城北橋より上流、猿投橋までの区間で
   木曽川導水の効果がもっともよく確認できた区間です。


  春〜夏の期間で見ると、城北橋より上流の区間をのぞけば
  木曽川導水が停止したときにいったんは悪化した堀川の
  状態が、名古屋市の施策等の効果もあって、徐々に改善
  している様子がうかがえます。
  

P65〜66
 
  一方、秋〜冬にかけては、各区間ともあまりはっきりした
 改善傾向は見られません。

  城北橋より上流では、むしろ印象が悪くなっていることが
 わかります。

  これは、秋〜冬は、春〜夏と比べて降水量が少なく
 もともと下水から堀川への汚濁物質の流入が少なく、
 名古屋市の、「合流式下水道の改善施策」の効果が目に
 みえにくいのではないか、ということも考えられます。

P103〜104


 一方、24年10月26日〜28日に開催された堀川ウォーターマジック
 フェスティバルでは、名古屋城〜納屋橋間で、3日間限定の
 船の定期運航が実験されました。

 これは、堀川のにぎわいづくりに舟運がどのような役割を果たすかという
 観点からの、市民による社会実験です。

 堀川1000人調査隊では、別の観点、つまり「堀川で船が定期運航
 すると、堀川がきれいになるのではないか?」という観点から
 一斉調査を呼びかけました。



 堀川に定期的に船が運航されると、ヘドロの中のメタンや硫化水素
 などののガスは、定期的にヘドロの巻上げとともに開放され、その量は
 減少すると考えられます。

 さらに長期の定期運行が実現すると、堀川の水域が継続的に攪拌される
 ことで、川底に酸素が供給され続けます。

 これによって、少しずつですが、川底の状態が改善(ヘドロ化が抑制)され
 低層の水質も改善すると考えられます。

  

P102

 実際に船(水上バス)が堀川を走ったときの写真です。

 川底のヘドロが巻き上がり、水が濃い灰色に濁る様子が
 確認されました。

 ヘドロの中で生成された気体が、あわになって水面に
 浮かび上がる様子も確認されました。

P112


 これは、河川計画課調査隊が、船に乗船した人に、においがあったか
どうかをアンケートした様子です。

 のべ230名のアンケート回収がありました。

P113


 アンケートの結果は、船が運航されると、「におい有り」の比率が
増加しました。

 なお、「におい有り」と答えられた方の比率は、日ごとに減少して
いました。

 これは、時間帯ごとに整理をした結果からも、同様な結果が
得られました。

 この結果、船が定期的に運航を続けることによって、においは
次第になくなってゆくのではないか、川底の水質の改善も
進むのではないか、という期待がもてそうに思われます。

P115


 第12ステージでは、新堀川での調査活動も始まりました。

 堀川と新堀川の水質は密接に関係しているのではないか、とも
考えられますが、市民調査レベルでは、まだほとんどデータの蓄積が
進んでいないのが現状です。

 これからデータ蓄積が進むことによって、新堀川の浄化の
処方箋にもつながってゆくことが期待されます。





以下は、平成24年月22日付で掲載した関連記事です。


事務局より
 
   平成24年9月22日(土)、名古屋都市センターで開催された
  第11回堀川1000人調査隊会議で発表された、第11ステージの市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

    ⇒市民調査隊の調査報告書(概要版説明文付) のダウンロードはこちら

    ⇒    同 (詳細版) のダウンロードはこちら
   
    ⇒名古屋市による調査報告のダウンロードはこちら

    ⇒名古屋市の堀川再生のための取組みはこちら

    ⇒庄内川水分橋の頭首工開閉操作の実験についてはこちら

    ⇒第2回 一斉調査のご案内はこちら




 第11ステージにおける市民調査の結果について、調査隊会議でご報告した要点のみ
かいつまんでご紹介させていただきます。

 なお、各コメントにおける、「ページ数」は、上記、市民調査報告書(詳細版)
ページを意味しています。

 下記に縮小したページの写真とともに、会議で報告されたコメントを
ご紹介していますが、拡大版は、上記の資料をご覧ください。


   このレポートのポイントは、次の通りです。

   1.堀川は、名古屋市の浄化施策の効果がでて、きれいになってきている。 P13〜49

   2.金環日食の日の一斉調査によって明らかになってきた、大潮と堀川の関係。 P51〜74

   3.堀川で魚が大量死するメカニズムの一端をひもときました。 P75〜84



P13  木曽川導水が停止した平成22年3月以降の、名古屋市の実施している
     主な堀川水質改善施策の実施状況は次の通りです。

      名城水処理センターの高度処理の導入
      堀川右岸雨水滞水池の供用
      守山水処理センターの下水再生水の活用





P14  新たな水源の確保のため、守山水処理センターで膜ろ過された
     下水再生水を活用し、日最大4,000トン(毎秒換算約0.01トン)を
     堀川へ通水しています。
         通水開始  平成23年8月

       ただし、通水期間は概ね灌漑期(4月〜10月)で、
       11月〜3月は、庄内用水に通水がおこなわれています。
 



P16 堀川1000人調査隊の調査項目である、「水の汚れの印象」の
    報告からは、次のようなことが読み取れます。

     木曽川からの導水のあった3年間の夏場である、第1ステージから
    第5ステージまでの間、猿投橋〜松重橋間で改善が見られた。

     導水停止後の第7ステージは、いったん悪化した。

     しかし、その後、第9〜11ステージには改善の傾向が見られる。

     これは、P13で示した名古屋市の新たな水質改善施策の
    実施による効果が出ているのではないか考えられる。


     



P21
  同じような傾向が、透視度・あわ(P28)・におい(P31)でも見られる。



P25
  ただし、CODについてだけは、こうした改善傾向は確認できていない。



P28



P31



P22
  前日に雨が降ったあとの堀川の透視度について


春〜初夏においては、前日に雨が降ると、当日の降雨はなくても
堀川全域で、透視度が低くなっていることがわかりました。



(参考)
第10ステージで報告された、冬場の状況

前日に雨が降ったとき、(当日は降雨なし)
朝日橋から下流の港新橋までの区間では、透視度が
低くなることがわかりました。

 上流部では、透視度が若干悪化する傾向は見られましたが
下流部ほど顕著ではないことがわかりました。




P26  前日に雨が降ったあとの堀川のCODについて

春〜初夏においては、前日の降雨によるCODの顕著な変化は
確認できませんでした。


 ただし朝日橋より上流部では、希釈されるのか、CODが若干
下がっていました。



(参考)
 第10ステージで報告された、冬場の状況

前日に雨が降ると、上流部の猿投橋〜朝日橋間で、CODが
低くなりました。

 上流部では、雨が降ると、透視度は悪化しますが、CODは
希釈されるようです。

 朝日橋より下流では、雨によるCODの変化は、確認できませんでした。

 名古屋港に近いところでは、若干下がっていますが、誤差の範囲内
かもしれず、さらなる調査による確認が必要だと思います。





P35  堀川の錦橋で撮影された、堀川の色の変化です。














P36  第11ステージは、「緑褐色」の出現回数が多くなりました。
     水中の植物プランクトンが多かったものと考えられます。

     (赤潮の状態が多かったと考えられます)

P39  路上ゴミ(人工ゴミ)を目にする頻度は、減少傾向です。
     
     清掃活動の活発化、レジ袋の有料化などの社会的な変化も
     影響しているかもしれません。

     目にする頻度の高いのは、タバコの吸殻です。
 


P40
  路上ゴミは減少の傾向ですが、浮遊ゴミを目にする頻度は
     減っていません。

      浮遊ゴミは、船で定期的に清掃が行われますが、堀川に
     落下したゴミは潮の干満で感潮区間を何度も行き来して、
     長い時間滞留しているためと考えられます。

      浮遊ゴミは、特にプラスチック系が多く見られました。







P42  2008年2月に、堀川再生フォーラムの先生方が発表された
    論文があります。

      この研究によれば、堀川では、松重閘門の水域部が
     あることによって、堀川の浮遊ゴミが長期に滞留する
     傾向があると指摘しています。

      この松重閘門に、浮遊ゴミが滞留する引き潮時を狙って、
     効率的なゴミ回収作業ができるのではないか。

      この点を今回の調査隊会議で市民から行政に提言を
      行いました。





P47
  第11ステージでは、堀川1000人調査隊も参加して、
    生き物調査も行われました。

      5月20日に、名城公園付近で行われた調査では、
     体長50cmほどの巨大なティラピアも捕獲されました。

      名城水処理センター下流のこの水域では、巨大化した
     ワニガメ、トゲスッポンも発見、捕獲されています。

      下水処理水の水温が比較的高いこと、富栄養化されやすい
     ことなど、外来生物が大きく育つ要因を備えているのかも
     しれません。
     



P49
  木曽川上流の恵那農業高校と連携して、空心菜を利用した
     堀川浄化実験も行われています。

     第11ステージでは、3年目となる空心菜実験が紹介されました。



P51 
第11ステージには、5月21日に金環日食がありました。

     この特異な大潮の日に、堀川1000人調査隊は、有志による
    一斉調査を実施しました。

     この一斉調査により、大潮の日の堀川の実態に大きく
    迫ることができ、堀川で赤潮や青潮が発生するメカニズム、
    堀川で魚が大量死するメカニズムの解明に大きな一歩を
    踏み出しました。









P52  金環日食の大潮の日の、名古屋港の潮位差は、2m以上でした。

     大潮時の潮位差は、小潮時の約2倍でした。



P53
  堀川一斉調査の様子です。














P54  名古屋港の潮位の変動に伴い、堀川の各所で流れの向きの変化が
     市民調査隊により、実際に確認されました。



P55
 この日の干潮は、正午頃でしたが、干潮に近い時間帯に、各調査地点で
    水の汚れの印象が悪くなりました。


    また、午後、上げ潮に転じると、下流の海に近い地点から、水の汚れの
    印象が悪くなりました。












P56  調査の時間帯によって、水の色が変化してゆきました。

     特に中流域では、灰緑色が多く観察されました。
     これは、川底のヘドロがまきあがった影響と考えられます。


      また、中・下流域では、上げ潮時間帯に、緑褐色になりました。

      これは、赤潮〔植物プランクトンが多い状態)の影響と考えられます。

      ※この時期、名古屋港でも赤潮が発生していました。



P57
  錦橋で撮影された、堀川の色の変化です。

      13時頃には、錦橋〜納屋橋間でヘドロが巻き上がっていました。

      15時には緑褐色(赤潮状態)になっていました。












P58  ヘドロの巻上げや赤潮が確認された状態でしたが、
     一部の調査結果を除けば、においは少ない、という状態でした。



P59
  においの種類は、主にヘドロ臭でした。



















P60 中流域では、下げ潮時に、 下流域では、上げ潮時に
    川底からのあわを確認しました。

     中流域では、水位の低下による水圧の低下
     下流域では、流速の増加によるヘドロの巻きあげによって
     ヘドロの中で生成されたメタン等のガスが水中に解放され
     やすくなったものと考えられます。



P61
  透視度は、干潮時間帯に低下(悪化)しました。

     午後、上げ潮に転じると、透視度は一時的に回復しましたが
     その後は、低下(悪化)の傾向でした。

      干潮時間帯に透視度が悪化したのは、ヘドロの巻きあげによる
     影響であると考えられます。


      上げ潮時間帯にも透視度が悪化したのは、赤潮(植物プランクトン
     などの浮遊物)の遡上によって、透視度が下がったも
のと考えられ
     ます。




P62  CODは、干潮時間帯に増加しました。

     上げ潮に転じると、CODは一時的に回復した地点もありましたが
     その後も増加傾向でした。

      干潮時間帯にCODが増加(悪化)したのは、ヘドロの巻き上げ
     によるものだと考えられます。


      中流域では、上げ潮時間帯にCODが低下(改善)の傾向が
     見られました。遡上した塩水のCODが、堀川の主な水源(淡水)
     の値よりも低かったためと考えられます。





P63〜64
  名古屋市の河川計画課調査隊が、堀川の中・下流部は
       この日、赤潮状態であったことを確認しました。


      また堀川では、貧酸素状態である、青潮の状態に
     なっていないことを確認しました。


      その根拠は次の通りです。

     ・潮位が高くなると、表層の水の色が茶褐色(黒茶)になった。

     ・観測時間帯の表層(2割水深)の溶存酸素(DO)は、ほとんどが
      飽和、または過飽和の状態であった。

      潮位が高くなるにつれて値が大きくなった。
      特に下流部の大瀬子橋の値は、飽和値の2倍になった。

     ・卵腐臭がしなかった。

     ・観測時間帯の低層(8割水深)の溶存酸素量(DO)は
      飽和値の3割以上が残存していた。



P65
 植物プランクトンが多い状態でじゃ、光合成が行われ、水が
    アルカリ性になります。

     そのメカニズムの解説です。












P66 今年の初夏は、雨が少なく、日照時間が長くて、赤潮に
     なりやすい条件でした。



P67
 この5月21日は、18時20分頃、錦橋付近において、
    潮の先端部が移動する様子が見られました。


     大潮の強い遡上の力で、塩水が押し上げられて
     先端部分が潮目になってあらわれたものと考えられます。









P68  実は、2年前の平成21年7月22日の部分日食があった
     大潮の日にも、同じ錦橋で夕方18時45分頃、潮の先端部が
     移動する様子が観察されています。











P69
 堀川における、大潮時の塩水の遡上のイメージです。

    大潮の上げ潮時は、塩水が強い流れになって押し上げられます。

     このとき、塩水の塊と、淡水の塊が正面衝突して、せめぎあいを
    していると考えられます。

     この先端部分が、潮目になってあらわれたものと考えられます。

     堀川の大潮時は、塩水と淡水が強混合型になっていると
    考えられます。




P70
 一方、小潮の上げ潮時は、塩水が押し上げられる力が
    強くありません。

     このため、塩水と淡水が混ざろうとする力も弱く、比重の重い
    塩水は、淡水の下にもぐりこみます。

     堀川の小潮時は、塩水と淡水が弱混合型になっていると
    考えられます。




P71
 
 赤潮と青潮の発生メカニズムの一端を紐解いてみます。
 雨が降ると堀川に汚濁水が流入します。
 その汚濁水には、有機物、窒素、リンが含まれています。
その一部は沈降しますが、一部は動植物プランクトンの栄養分に
なります。


 植物プランクトンが増殖すると赤潮の状態になることがあります。
 今回の堀川一斉調査の時は、中・下流域で赤潮が確認されました。

 日照が十分あり、植物プランクトンが増殖する環境が整っていたものと
考えられます。
 水域に大量の有機物が存在すると、まず酸素がある環境を好む
生き物がその有機物をエネルギーとして活動をします。


 この時に有機物の分解に伴って水中の酸素が消費(呼吸)されます。
 この酸素の消費によって水域は貧酸素の状態になります。


 貧酸素の状態になると主に無酸素の底泥中で酸素がない環境を好む菌が
有機物をエネルギーとして活動を始めます。


 ここで活動する主な菌について説明をします。

 まず、硫酸還元菌です。硫酸イオンがある環境で活動します。

 硫酸イオンは海水にも多く含まれています。

 硫酸還元菌は有機物を分解する時に硫酸イオンを還元し、
硫化水素を発生します。


 卵が腐った時の臭いを放つガスです。硫化水素は、
底泥や水中に硫化物(H2S,HS−等)の形で蓄積されます。

 大潮時など潮位の変動が大きい時に硫化物(主にH2S,HS-)を含む
白濁化(硫化物の一部は酸素と反応して硫黄コロイドを生成)した水塊が
強混合状態で上流に移動する場合があります。

 これが堀川で見られる青潮の状態です。

 次にメタン生成菌です。
 硫酸イオンが少ない水域では、メタン生成菌が優占します。

 メタン生成菌は二酸化炭素と水素などでメタンガスを発生します。
 メタンガスは無臭です。


P72
今回の金環日食ではなぜ青潮の状態が観察されなかったのでしょうか?
 金環日食と部分日食の時の過去1箇月間の気象条件と潮位を
比較してみました。

 その結果、気象条件が大きく異なることが確認されました。
 特に汚濁水の流入に影響する降水量と植物プランクトンの
増殖に影響する日照時間が異なることに着目すると、以下のように
考えられます。
 金環日食の時(平成24年5月21日)は、6日前の長潮時
(潮の移動が少ない時期)に30mm/日の雨が降り、水域に汚濁水が
流入しました。


 その後、長時間の日照によって植物プランクトン(赤潮)が増加しました。


 5月21日の段階では光合成による昼間の溶存酸素の増加もあり、
有機汚濁の分解に伴う酸素消費による貧酸素水域の形成が
青潮を発生するほどの状態になっていなかったと考えられます。


 部分日食の時(平成21年7月22日)は、5日前の長潮時
(潮の移動が少ない時期)に100mm/日を超える雨が降り、
水域に大量の汚濁水が流入しました。

 流入した大量の有機汚濁の分解により酸素が消費されて
水域が貧酸素状態になり、中・下流域で青潮が発生したと考えられます。



P73
 金環日食の平成24年5月21日の前1箇月間の気象条件や
    潮位の変化です。雨が少なく、日照時間が長かったことが
    わかります。














P74 部分日食の平成21年7月22日の前1箇月間の気象条件や
    潮位の変化です。

    今年の金環日食の時よりも降水量が多く、日照時間が短いことが
    わかります。



P75
 
どのような状況で貧酸素になるのでしょうか?
 堀川で発生する死魚の原因の多くが酸欠であることから、
調査隊が今までに確認した死魚の発生に関する知見をもとに、
堀川で貧酸素になるときの状況を整理してみました。
 調査隊の報告から死魚がどのような時に発生したのかを整理してみると、
冬が終わり水温があがる4月〜6月、大潮の時、雨が降ったあとなどの
共通点が見えてきました。






P76 
 調査隊の結果から得られた知見をさらに深めるため、名古屋市が
公表している堀川における過去の死魚の記録を整理してみました。
 この結果から死魚は
  @4月下旬〜6月に発生、
  A降雨の後に発生、
  B主に中潮〜大潮時に発生、
  C中・下流域で発生している

 という共通点が見えてきました。


 貧酸素の状態になる理由としては、冬季に川底に堆積した有機物が
春になり分解にする時に酸素が消費されること、

 降雨に伴い合流式下水道の雨水吐から汚濁水(有機物)が流出して
酸素が消費されこと、

 降雨に伴う出水により河床に堆積した有機物が撹拌されて酸素が
消費されることなどが考えられました。


 そして、この貧酸素によって死魚が発生するのは、堀川をコノシロ、ボラ、
ハゼなどの汽水・回遊魚が遡上し、これらの魚が貧酸素の水塊に逃げ場を
奪われた時です。




P77
 
 堀川を遡上するコノシロ、ボラ、ハゼなどの汽水・回遊魚が
貧酸素の水塊に逃げ場を奪われる時の状況の一例を
貧酸素水塊の移動のイメージで表現してみました。



P79
 堀川における過去の死魚の記録です。

    平成19年には、5月28日にコノシロの死魚の記録が
   ありました。

    このときは、中潮で、直前にまとまった降雨がありました。







P80 平成20年には、木曽川導水できれいになった堀川に
    ボラが大量に遡上しました。

     そのボラが、2月23日と3月6日に大量に酸欠死しました。

     このときは、いずれも大潮の日でした。


     また6月23日には、ハゼの死魚の記録がありました。

     このときは中潮で、直前にまとまった降雨がありました。



P81
 平成21年には、死魚の記録がありませんでした。














P82

 平成22年には、4月30日と5月21日に死魚の記録がありました。

 うち4月30日は大潮で、その直前にまとまった降雨がありました。


P83

 昨年、平成23年には、5月2日と16日にコノシロの死魚が
確認されました。

 いずれも大潮のときで、その直前にまとまった降雨がありました。







P84


今年(平成24年)の堀川の死魚の記録です。
今年は6月19日にコノシロの死魚が確認されました。

この日は台風4号が接近し、満潮位が高くなりました。
貧酸素水塊が中流域に押し上げられて、遡上していたコノシロが
逃げ場を失って死んだものと思われます。



P85〜96

市民意識の向上 学習会などを整理しました。












以下は、平成24年2月25日付で掲載した関連記事です。


事務局より
 
   平成24年2月25日(土)、名城水処理センターで開催された
  第10回堀川1000人調査隊会議で報告された、5年間の市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

    ⇒市民調査隊の調査報告書(概要版) 説明文付 のダウンロードはこちら

    ⇒    同 (詳細版) のダウンロードはこちら
   
    ⇒名古屋市による水質調査報告 のダウンロードはこちら

    ⇒名古屋市の堀川再生のための取組みはこちら

    ⇒朝日橋付近に堰を設置する市民提案に対するシミュレーション結果はこちら

    ⇒庄内川水分橋の頭首工開閉操作の実験開始についてはこちら


5年間の市民調査の結果について、調査隊会議でご報告した要点のみ
かいつまんでご紹介させていただきます。

 なお、各コメントにおける、「ページ数」は、上記、市民調査報告書(詳細版)
ページを意味しています。

 下記に縮小したページの写真とともに、会議で報告されたコメントを
ご紹介していますが、拡大版は、上記の資料をご覧ください。


   なお、補足事項として、下記の報告でもおわかりになると思いますが、
  堀川には、次のような問題点・今後の調査活動のポイントがあることが
  クローズアップされました。

    堀川の水源の水質をもっと調べることが、堀川の実態解明には必要である。
      庄内川・新堀川・名古屋港・水処理センターなど

    堀川には中下流部に問題が多い。
      新堀川の水が遡上してくることとも関係が深いように思われるので
      今後、堀川と新堀川を一緒に調べてゆく必要がありそうである。

    雨が降ると浮遊ゴミが増えるのではないか、と思われる。
      現状は、調査データが不足しているので、さらにデータを積み重ねる必要がある。


   第11ステージ以降の課題として意識してゆきたいと思います。

以下、報告内容です。



5ページ

 堀川の概要について。

 水の汚れの原因は、家庭や工場や店舗からの排水です。

 たくさん雨が降ると汚れた水がそのまま放流されることがあります。

 植物プランクトンの繁殖のもと(窒素やリン)は、家庭や工場や
店舗などの排水に含まれています。

 堀川では、潮の干満の差が2m以上のときもあります。

 赤潮(富栄養化)の状態の写真
 青潮(酸素不足)の状態の写真をご参考にしてください。



9ページ

 5年間の活動は、木曽川導水社会実験を市民の視線で検証するのと
あわせて、堀川を愛する人の輪を広げてきました。

 平成19年4月4月に、165隊、2,262人でスタートした
第3次堀川1000人調査隊は、平成24年2月20日現在で
2,379隊、21,334人に大きく成長しました。

 
   ⇒第1次調査隊、第2次調査隊から、第3次調査隊への流れは
     こちらを参照ください。


 堀川を愛する人の輪は、時間をかけて少しずつ大きくなっていきました。

 時々、ぽんと人数が伸びているところは、環境デーなごや、
なごや水フェスタ、堀川フラワーフェスティバルなどのイベント時に
調査隊の皆さんが堀川応援隊の勧誘活動をしていただいた成果です。

 堀川に関心をもち、堀川に愛着をもつ人の輪を広げることで
市民の意識は5年間で、大きく高まりました。


11ページ


 堀川1000人調査隊の大きな特徴は、調査の件数(サンプル数)の
多さです。

 第1ステージ〜第10ステージの5年間で、インターネットを使って
報告された定点観測のデータ数は、2,457件。

 行政の調査は、月1回、様々な箇所で行われますが、5年間で
約500件程度です。

 市民のこの多大なサンプル数でもって、堀川の実態解明は
大きく前進しました。


12ページ

 これまでの調査でわかってきたこと

 堀川の猿投橋から下流の区間(感潮区間)では、潮の干満によって
水域の様子が時々刻々と変化していることがわかってきました。

 また定点観測隊がたくさんの観測(いろいろな場所、潮の状態、
時間帯に観測)することで、堀川の平均的な状態をとらえることができ、
その変化の傾向がとらえられることがわかりました。

 そして、この5年間の成果として次のようなことを指摘することが
できました。

 1.猿投橋〜松重橋間で、木曽川導水による浄化の効果を
   確認しました。

 2.堀川の浄化と再生を願う市民のネットワークが拡大しました。

 3.清掃活動が活発化するなど、市民の浄化意識が向上しました。


 


16ページ


 潮の干満と堀川への影響について

 堀川は、潮の干満の影響を受けています。
 2m以上水位が変化する日もあります。

 昼間の干潮時の水位は、「秋〜冬」よりも、「春〜夏」の方が
低いということもわかりました。
 これは、地球の自転軸が傾いていることと関係があるようです。

 ※堀川1000人調査隊の定点観測は、通常昼間に行います。
   冬場と比べて、夏場の干潮時は水位が低いため、
  調査にゆく昼は、夜の干潮のときと比べて水質が悪い
  可能性があります。

   そのため、夏場は、冬場とくらべて堀川の印象が悪いという
   結果につながった可能性があります。



17ページ

 社会実験の主な施策の実施状況

 今回の社会実験では、木曽川からの導水は、平成19年4月から
22年3月まで行われました。

 木曽川からの導水が終わったあと、堀川では、
名城水処理センターのろ過装置の導入や、
堀川右岸雨水滞水池の供用開始などがあり、
特に上流部では、導水が終わった後、
堀川の水質が単純に悪くなったといえない現象が
確認されました。




18ページ

 堀川の水質と関係する水域の水質について

 木曽川の水質のうち、透視度やCODは比較的安定していることが
わかります。

 



19ページ


 それに比べて、庄内川の水質は、木曽川の水と比べて透視度が低く
CODが高いことがわかります。

 また、水質にはばらつきがあることがわかります。

  
 一方、名古屋港の水質は、春〜夏の値が、秋〜冬の値よりも悪く
ばらつきが大きいことがわかります。

 名古屋港の水は、潮の干満によって堀川にはいってくるため
堀川の水質への大きいこともわかってきています。




25〜26ページ


 水の汚れの印象について
 
 夏場は、導水期間中に比べ、導水停止後は、
城北橋〜朝日橋〜松重橋間で、印象が大きく悪化しています。

 夏場の導水による改善の効果は、この区間で顕著に
見られたことがわかりました。



 一方、冬場は、城北橋〜朝日橋間で導水期間中に比べ、
導水停止後は、印象が大きく悪化しました。

 夏場と比べて、冬場は、やや上流で改善傾向が
見られたことがわかりました。

 この原因については、名古屋港の水質が冬場によくなって、
松重橋あたりまでさかのぼってよい影響を与えていることも
推測されます。

29ページ

 水の汚れの印象の評価ポイントについて

  
「きれい」は透明感で、「きたない」は色で!


 調査隊の隊員が、「きれい〜どちらでもない」と感じたときは
主に「透明感」で評価していることがわかりました。


 逆に、「ややきたない〜きたない」と感じたときは、主に
「色」で評価していることがわかりました。



30ページ

 前日に雨が降ったときの水の汚れの印象について

  上流部では、雨が降ると主に「透明感」で評価していることが
 わかりました。

     上流部では、雨が降ったあとは透明度が下がる!

  中下流部では、雨が降ると、「におい」で評価していることが
 わかりました。

     中下流部では、雨が降ったあとはにおいが気になる!


32ページ


 透視度の変化

 夏場は、冬場よりも透視度が低いことがわかりました。

 導水中の夏場は上流部の猿投橋〜城北橋間で改善が
みられました。

 城北橋〜朝日橋付近は、5年間を通じて、他の区間と比べても
平均の透視度が低いことがわかりました。
  これは、市民の許容範囲である透視度70cmを下回って
いました。

  この区間は、名城水処理センター付近と一致していて、
 川底にたまったSSなどが、水処理センターから排水される水に
 よって攪拌されていることも推測されます。

  同水処理センターでは、平成22年5月より、ろ過装置が
 導入されていますので、放流水に含まれるSSは減っているため
 透視度が、今後どのように変化していくかも、着眼点のひとつです。


 


33ページ


 夏場の透視度の変化

 導水期間中と、導水停止後の比較では、城北橋〜朝日橋間で
透視度が大きく悪化しました。

 これにより、夏場の導水効果は、城北橋〜朝日橋間で顕著であったことが
わかりました。




 冬場の透視度の変化


 導水期間中と、導水停止後の比較では、城北橋〜朝日橋間と
朝日橋〜大瀬子橋間で透視度が大きく悪化しました。
  
  これにより、冬場の導水効果は、城北橋〜朝日橋間と
朝日橋〜大瀬子橋間で顕著であったことがわかりました。

 


36ページ


 水の汚れの変化と透視度(透明感)の平均値の関係

   
「きれい」の許容範囲は、透視度70cm以上。


 市民が見た堀川では、市民の許容範囲(きれい〜どちらともいえない)が
透視度70cm以上であることが統計処理によりわかりました。

 これは、5年間に約2,500件のデータを積み上げた分析結果であり
堀川1000人調査隊の大きな成果であると思います。


37ページ


 前日に雨が降ったあとの堀川の透視度について


 前日に雨が降ったとき、(当日は降雨なし)
朝日橋から下流の港新橋までの区間では、透視度が
低くなることがわかりました。



 上流部では、透視度が若干悪化する傾向は見られましたが
下流部ほど顕著ではないことがわかりました。


40ページ


 CODの変化

 夏場は、冬場よりもCODが高いことがわかりました。

 下流部の松重橋〜港新橋間は、上中流部の猿投橋〜松重橋間よりも
CODが低いことがわかりました。

 ※堀川には中流部に問題がありそうだということがわかりました。


41ページ


 夏場のCODの変化

 導水中と導水停止後を比較した結果、夏場についてはCODの
大きな悪化は見られませんでした。

 つまり、夏場については、導水によるCODの改善は確認できませんでした。


 冬場のCODの変化

 導水中と導水停止後を比較した結果、冬場については
上流部の猿投橋〜城北橋の区間、中流部の朝日橋〜松重橋区間で
CODが悪化しました。

 上流部では、導水によるCODの顕著な改善が見られました。

 中流部での改善は、大きな数値の変化ではないこと、名古屋港からの
海水の遡上の影響もあると思われることから、導水による改善であるか
どうかは確認ができませんでした。


 


44ページ


 前日に雨が降ったあとの堀川のCODについて

 
前日に雨が降ると、上流部の猿投橋〜朝日橋間で、CODが
低くなりました。

 上流部では、雨が降ると、透視度は悪化しますが、CODは
希釈されるようです。

 朝日橋より下流では、雨によるCODの変化は、確認できませんでした。

 名古屋港に近いところでは、若干下がっていますが、誤差の範囲内
かもしれず、さらなる調査による確認が必要だと思います。




47ページ

 あわの発生状況について

 導水期間中に、猿投橋〜城北橋間と、朝日橋〜松重橋間で
発生頻度が減少しました。

 導水終了後に、はっきりと増加に転じたというところまでは
確認できておらず、今後時間をかけて悪化してゆく可能性もあり
さらなる調査による確認が必要だと思います。


49ページ


 夏場あわの発生状況について

 朝日橋〜松重橋間では、他の区間よりも
川底からのあわの割合が多いという結果が確認されました。






50ページ


 冬場あわの発生状況について
 
 導水停止後に、あわの発生頻度が顕著に増加した区間は
ありませんでした。


53ページ


 においについて

左上写真  大潮の下げ潮時間帯の錦橋で、ヘドロが巻き上がり
        ヘドロ臭がした。

左下写真  大潮の下げ潮時間帯の納屋橋で、ヘドロが巻き上がり
        ヘドロ臭がした。

右上写真  大潮の上げ潮時間帯の納屋橋で、腐卵臭がした。

右下写真  大潮の満潮時間帯の錦橋で、強烈な腐卵臭がした。



55ページ


 においの発生状況

 導水中に、上流部の猿投橋〜城北橋間と、
中流部の朝日橋〜松重橋間で、「ひどくにおう〜におう」が
減少しました。


57ページ


 夏場のにおいの発生状況

 導水中と比較して、導水停止後は、名城水処理センター付近の、
城北橋〜朝日橋間、中下流部の松重橋〜大瀬子橋間で、
「ひどくにおう〜におう」が顕著に増加した。








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 冬場のにおいの発生状況

 導水中と比較して、導水停止後は、
中下流部の松重橋〜大瀬子橋間で、
「ひどくにおう〜におう」が顕著に増加した。



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 においの縦断的変化

 においの目立つ場所
   中流部の朝日橋〜景雲橋
         伝馬橋〜天王崎橋
   中下流部の尾頭橋〜大瀬子橋

 
  ※名工大河川調査隊のレポートより抜粋

  平成21年5月26日 大潮 五条橋・中橋で観測

  水位が高いうちは、水に透明感があり、導水の効果を感じることが
 できました。
   しかし、水位が下がってくると、一気に水が黒くなり、
 SS濃度も一気に上がり、側岸部に黒いものがわいてくるように
 現れてきました。
   においも激しくなりました。

   全面ヘドロで覆われているという状態ではなく、これでも改善
  されているのかもしれませんが、かなり見た目が悪く、においも
  発生しています。
   黒いものが、水の中へ墨絵のように流出している様子も
  見えました。

   


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 においの種類

 「どぶのにおい」と、「ヘドロのにおい」が8割以上を占めました。


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 色について

 錦橋で撮影されたものです。

 右上8番の写真
 
 淡灰黄緑色のときには、
 「卵の腐ったにおい(硫化水素臭)がする」
 「魚が苦しそうにしている」などの報告もありました。

  この色は、大潮のときより、中潮から小塩の間に
 多く見られることもわかりました。
 
  左下の写真
 平成21年7月22日  大潮 日食 午後7時頃(満潮時間帯)
   錦橋(下流向き、納屋橋方面)

  上流側は、灰黄緑色の水、下流側は少し青みがかった
 灰色の水だった。

  灰色の水があるあたりは、卵の腐った強烈なにおいが
 たちこめていた。

  そしてボラの幼魚が苦しそうに鼻上げ状態、アメリカザリガニが
 水際まで上がっていた。  撮影:かわせみ調査隊


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 出現した色の構成比について

  多く出現した色は、淡灰黄緑色、灰黄緑色、灰緑色でした。



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 「きたない〜ややきたない」のときに出現した主な色

   主に、「緑色」、「黄灰色」、「淡灰黄緑色」、「灰黄緑色」、
  「灰緑色」、「濃灰色」でした。


   「淡灰黄緑色」は、主に青潮(酸欠)の状態になったときの色です。

   「濃灰色」は、主にヘドロが巻き上がったときの色です。
   この色は、主に春〜初夏のステージで見られます。


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  大雨のあとの中川運河や堀川には
 おびただしい量のゴミが浮遊していました。


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  ゴミについて


 堀川に浮遊するゴミ(人工ゴミ)は、プラスチック系のものが
多く見られました。


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  浮遊物(人工ゴミ)の縦断的な変化


 浮遊物(人工ゴミ)が多い区間は

     城北橋付近
     松重橋〜大瀬子橋間 でした。


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  路上ゴミについて  確認頻度の変化


    路上ゴミは、減少傾向にあります。

    清掃活動の活発化、レジ袋の有料化などの社会的な
   環境の変化も影響しているのかもしれません。

    目にする頻度が最も高いのは、タバコの吸殻です。


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  生き物について


 ボラの大量遡上と大量死について

  平成20年に、堀川にボラが大量遡上して話題になりました。

  そのボラが、2月と3月に2回大量死する事件が発生しました。

  そのいずれも、大潮のときでした。

   また、いずれも、木曽川からの導水が停止、または中断していました。
  
   大量死の原因は?

     酸素不足が原因ではないかと考えられています。
     酸素不足になった原因としては、以下が想定されます。

     ・巻き上げたヘドロが水中の酸素を消費した。
     ・大量のボラが呼吸することで、水中の酸素が消費した。


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   汽水・回遊魚の遡上について


   堀川の中流域で、平成22年と23年の4月中旬から5月上旬に
  かけて、魚が大量死する事件が発生しました。

    平成22年と23年の共通点は?

    1.各年の最初の大量死であること(冬場にはない)
    2.魚種がコノシロであること。
    3.気温が15℃前後であること
    4.潮まわりが大潮であること
    5.まとまった雨がふったあとであること

    春先の大潮の時期で、まとまった雨が降ったあとに魚(コノシロ)が
    2年連続で大量死しているというのは興味深いことであり、
    今後も観察を続けると面白い発見につながる可能性があります。
   

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堀川の外来種について

   
左下の写真  

     トゲスッポンは、発見した2匹とも捕獲されました。

     ワニガメは、4匹発見され、うち2匹が捕獲されました。


83ページ〜91ページ

 第10ステージ以降の半年間(平成23年9月〜24年2月)の
間に開催された、学習会、イベントなどをまとめたものです。

 わずか半年だけでも、これほど活発な活動が展開されていることは
とても素晴らしいことだと思います。










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