堀川を清流に
  堀川1000人調査隊2010

         活動の記録



   第12回 堀川1000人調査隊会議にて報告された事柄
      
     第12ステージの堀川1000人調査隊の、市民調査の総括報告。

       第12ステージの堀川は、前年と比べ、水の汚れの印象が悪かった。
       この原因は、夏の暑さが前年より長く続き、堀川が白濁して色が悪かったためと考えられる。
         
⇒堀川の水環境は、気象条件に影響を受けることをデータで実証した。

       堀川ウォーターマジックフェスティバルで、3日間、船の定期運航が行われたが
       最初は、船でヘドロが攪拌され、においも出たが、徐々に薄まっていった。
       
舟運が、堀川の浄化にもつながるのではないか、という仮説が立てられる。

       平成25年2月23日(土)  於:名古屋都市センター

        ⇒第12回調査隊会議の様子はこちら

        ⇒名古屋市による調査結果の報告はこちら



事務局より   平成25年2月23日
 
   平成25年2月23日(土)、名古屋都市センターで開催された
  第12回堀川1000人調査隊会議で発表された、第12ステージの市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

        ⇒PDFデータのダウンロードはこちら

        ⇒抜粋版(詳細説明付PDFデータのダウンロードはこちら


P1
 第12回調査隊会議では、第12ステージ(平成24年9月〜12月)に
   実施された市民の定点観測データ135件を、前年のデータと比較し
   分析した結果が発表されました。

















P2  堀川の水環境について軽くおさらいをしました。

P4
  昨年の第10回調査隊会議での決議事項をふり返りました。

 そのポイントは、次の通りです。

  調査隊の役割

 @堀川には、まだまだ時間をかけて調査を続けなければ
   わからないことがある。

   ⇒堀川の調査を継続し、堀川の実態解明、汚濁の原因を
    データで特定する必要がある。

    それによって、対策をたて、処方箋を描く。
    そして、官と民が力をあわせて、堀川の浄化・再生を目指し
   それぞれができることを継続する。

 A市民としてできること

    木曽川導水の復活を目指し、堀川を愛する人の輪をさらに広げる。

    木曽川・長良川・揖斐川など、流域の人たちと、市民レベルの
    交流を広げる。

    雨の日の生活排水に気をつける運動などを続け、
    家庭排水からの汚濁負荷を削減する実験を行い、
    その効果を確認して実行する。

  私たちの活動、行動は、趣味や自己満足に終わらせるのではなく
  堀川浄化に直接役立たせてゆくことが大切!!



P9
 コラムより、要点を抜粋します。


現在の調査隊の登録状況は、堀川応援隊を含め、
2,609隊、50,403人です。

 発足時が165隊、2,262人でしたので、堀川の浄化と再生を願う
市民のネットワークが大きく広がったことがわかります。


 定点観測隊は第12ステージ終了までの間に2,881回の
定点観測を実施しました。


 第12ステージでは新堀川での調査活動もはじまりました。

 これまでの調査で、堀川の猿投橋から下流区間(感潮区間)は、
潮の干満によって、水域の様子が時々刻々と変化していることが
わかってきました。


 また、定点観測隊がたくさんの観測(いろいろな場所、潮の状態、
時間帯に観測)をすることで、堀川の平均的な状態をとらえられる
ことができ、その変化の傾向がとらえられることがわかりました。


 そして、堀川浄化の社会実験の5箇年では、木曽川からの
導水による水質改善の範囲が概ね“猿投橋〜松重橋”間であった
ことを確認しました。

 また、この活動の期間にごみ(人工ごみ:プラスチック系など)が
減少したことを確認しました。

 清掃活動が活発化するなど、市民の意識が変化してきたものと

考えられます。

P10
 木曽川導水停止後は、新たな水質改善施策として、
名城水処理センターに高度処理が導入(平成22年5月)
堀川右岸雨水滞水池が供用を開始(平成22年9月)
新たな水源として、守山水処理センターの下水再生水の活用
が開始(平成23年8月)されました。

 全般的には導水停止後に改善の傾向が見られています。
これは新たな水質改善施策が実施されたことによる効果
考えられます。

 

P17 名古屋市による主な水質改善施策の実施状況は
   左の図の通りです。
P13 第12ステージの水質調査結果を左右した、
    気象条件について説明します。

P24
  第12ステージ(平成24年9月〜12月)の気象は、
    その前年の第10ステージ(23年9月〜12月)と比較して
    夏の暑さが長く続いたこと、9月・10月の降水量が
    少なかったことに特徴がありました。

P25
  市民調査隊が、その日堀川を観察したときの、「印象」に
    ついてまとめました。

    左は、毎年春〜夏(4月〜6月)に、堀川に比較的良い印象を
   もったデータを抜き出したものです。

    木曽川導水中の第1・第3・第5ステージに改善の傾向が
   見られましたが、導水のとまった第7ステージにはストンと
   印象が悪くなっていることがわかります。

    その後、第9・第11ステージにかけて、改善の傾向が
   見られることがわかります。

    これは、名城水処理センターへのろ過機の導入(高度処理)や
   堀川右岸雨水滞水池の供用が開始され、堀川への汚濁負荷が
   削減されたことが効いているのではないかと考えられます。



P26  一方、毎年秋〜冬(9月〜12月)のデータでは
    導水停止後は、堀川の印象は横ばいでしたが、
    第12ステージでは、極端に印象が悪化していることが
    わかりました。


















P46
  その理由を探ろうと、透視度の秋〜冬のデータを
     分析しましたが、透視度においては、それほど
     データの悪化は見られませんでした。


















P58
  また同様に、CODの秋〜冬のデータを
     分析しましたが、CODにおいても、それほど
     データの悪化は見られませんでした。

P31  そこで、第11ステージと第12ステージの違いを探して
     ゆくと、第12ステージでは、市民調査隊が、その日の
     堀川の印象を、「色」で評価している割合が増加している
     ことがわかりました。














P32  さらに詳しく見てゆくと、上段の「比較的きれい」な状態の
    堀川においては、「その根拠」を色で判断している人が
    増加する傾向
にあることがわかりました。

     また、下段の「きれいではない」状態の堀川においては
    5割以上の人が、「その根拠」を色で判断している
ことが
    わかりました。


    その結果、第10ステージと、第12ステージにおいて
   透視度やCODの結果があまり変わらないにも関わらず
   堀川の印象が大きく悪化したのは、「色」に原因が
   あるのではないか、という点に着目
してさらに調べを
   進めました。

P81
 調べてみると、第12ステージでは、

  G淡灰黄緑色が最も多く出現した色でした。

  次に多く出現した色が、H灰黄緑色でした。

P82 P83
 

  第10ステージと第12ステージを比較すると、堀川では
  
   緑色・灰緑色・緑褐色などの、「濃い色」が減少して、

    黄緑色・淡灰黄緑色・黄褐色などの「淡い色」が増加
   
していることがわかりました。

   
   定点観測隊の市民調査隊は、堀川からバケツで水を汲み、
  その水質を調査するため、透視度やCODをはかっています。

   しかし、その水は堀川の表層水を汲んでいるケースが
  ほとんどです。

   第12ステージは、前年と比べ降水量も少なかったことから、
  合流式下水道から流入する汚濁物質もそれほど多くなかった
  ことが考えられます。

   つまり、24年秋の堀川は、表層水に関しては、比較的
  きれいな状態を保っていたと考えられ、それは、P46、P58で
  示された、第12ステージの透視度、CODの調査データでも
  裏付けられています。



   だとすると、第10ステージと第12ステージで、これほど
  出現する色に変化があり、しかも白濁して淡い色に見えたのは
  なぜだろうか?



   そういう疑問から、事務局では、次のような仮説を立てて
  説明を試みました。

P84 85
 

  @堀川には、名古屋港から海水が遡上してきます。

    この海水には硫酸イオンが含まれています。

    一方、堀川の中下流部には、酸素が少ない環境を好む
   硫酸還元菌が主に底泥中に存在し、特に夏場の気温・水温が
   高いときには活発に活動していると考えられます。

  A硫酸還元菌が活動し、有機物を分解するときに、
   硫酸イオンが還元され、硫化水素が発生します。

    硫化水素は、いわゆる卵の腐ったにおいがしますから
   夏場の堀川の中下流部では、川の底から泡が発生し
   腐卵臭が発生している場面が多く確認されています。


  Bこの硫化水素が水の中で酸素、あるいは二酸化炭素+光と
    反応すると、「硫黄コロイド」が発生します。

    この硫黄コロイドが、堀川が白濁する要因ではないかと
    考えます。

    堀川では、P85右下の瓶屋橋の写真のように、真っ白な
    温泉のように白濁している状態が時々見られます。

    24年の秋から冬にかけてよく出現した「淡い色」は、
   その右隣の尾頭橋の写真のような光景であったのでは
   ないかと事務局では考えています。

    そのイメージを示したのがP86です。

    第12ステージでは、10月中旬まで気温が高い状態が
    続きました。


    このために、堀川の低層の水(塩水)は、貧酸素の状態が
    続き、白濁した状態(青潮:硫黄コロイドの増加)に
    なりやすかったのではないか
と考えられます。

    透視度が高い表層の水(淡水)と、白濁した低層の水
    (塩水)で2層化した堀川を、橋などの上から見ると
    水の色が淡い色(白っぽく明るい色)に見えたのではないか

    と考えられます。


P34
  ちなみに左の写真は、堀川で実際に撮影された写真です。

     最初日が照っていたのですが、急に雲がかかって日が
    かげったので、日照による「色の変化」がよくわかる写真と
    なりました。


     この日の調査隊会議の会場で、左の写真と右の写真の
    色では、どちらの堀川が汚く見えるか、という質問をしたところ
    左の、「淡く明るい色のほうがきたなく見える」という人が
    多くありました。

P70

  第12ステージの低層の水質がよくなかったのではないかという
 ことは、「あわ」や「におい」の指標でも裏付けられています。

   前年と比較し、堀川では、あわの発生が多くみられました。

P71

  あわが特に多く見られたのは、松重橋〜朝日橋の、
 いわゆる都心の区間でした。

P75

  調査隊が、においを感じた回数も前年よりも多くなりました。

P78

 川底からのあわがあるときは、あわのないときと比べて
においがするときが多いこともわかりました。

P63〜64


 左は、堀川を区間別に分けて、「汚れの印象」、「透視度」
「COD]の変化を並べたグラフです。

  63〜64ページは、春〜夏(4月〜6月)

  65〜66ページは、秋〜冬(9月〜12月)です。

  赤いグラフは、松重橋〜大瀬子橋の下流部です。

  黄色のグラフは、松重橋〜朝日橋のいわゆる都心部です。

  緑色のグラフは、朝日橋〜城北橋で、名城水処理センターの
   付近となります。

  青色のグラフは、城北橋より上流、猿投橋までの区間で
   木曽川導水の効果がもっともよく確認できた区間です。


  春〜夏の期間で見ると、城北橋より上流の区間をのぞけば
  木曽川導水が停止したときにいったんは悪化した堀川の
  状態が、名古屋市の施策等の効果もあって、徐々に改善
  している様子がうかがえます。
  

P65〜66
 
  一方、秋〜冬にかけては、各区間ともあまりはっきりした
 改善傾向は見られません。

  城北橋より上流では、むしろ印象が悪くなっていることが
 わかります。

  これは、秋〜冬は、春〜夏と比べて降水量が少なく
 もともと下水から堀川への汚濁物質の流入が少なく、
 名古屋市の、「合流式下水道の改善施策」の効果が目に
 みえにくいのではないか、ということも考えられます。

P103〜104


 一方、24年10月26日〜28日に開催された堀川ウォーターマジック
 フェスティバルでは、名古屋城〜納屋橋間で、3日間限定の
 船の定期運航が実験されました。

 これは、堀川のにぎわいづくりに舟運がどのような役割を果たすかという
 観点からの、市民による社会実験です。

 堀川1000人調査隊では、別の観点、つまり「堀川で船が定期運航
 すると、堀川がきれいになるのではないか?」という観点から
 一斉調査を呼びかけました。



 堀川に定期的に船が運航されると、ヘドロの中のメタンや硫化水素
 などののガスは、定期的にヘドロの巻上げとともに開放され、その量は
 減少すると考えられます。

 さらに長期の定期運行が実現すると、堀川の水域が継続的に攪拌される
 ことで、川底に酸素が供給され続けます。

 これによって、少しずつですが、川底の状態が改善(ヘドロ化が抑制)され
 低層の水質も改善すると考えられます。

  

P102

 実際に船(水上バス)が堀川を走ったときの写真です。

 川底のヘドロが巻き上がり、水が濃い灰色に濁る様子が
 確認されました。

 ヘドロの中で生成された気体が、あわになって水面に
 浮かび上がる様子も確認されました。

P112


 これは、河川計画課調査隊が、船に乗船した人に、においがあったか
どうかをアンケートした様子です。

 のべ230名のアンケート回収がありました。

P113


 アンケートの結果は、船が運航されると、「におい有り」の比率が
増加しました。

 なお、「におい有り」と答えられた方の比率は、日ごとに減少して
いました。

 これは、時間帯ごとに整理をした結果からも、同様な結果が
得られました。

 この結果、船が定期的に運航を続けることによって、においは
次第になくなってゆくのではないか、川底の水質の改善も
進むのではないか、という期待がもてそうに思われます。

P115


 第12ステージでは、新堀川での調査活動も始まりました。

 堀川と新堀川の水質は密接に関係しているのではないか、とも
考えられますが、市民調査レベルでは、まだほとんどデータの蓄積が
進んでいないのが現状です。

 これからデータ蓄積が進むことによって、新堀川の浄化の
処方箋にもつながってゆくことが期待されます。





以下は、平成24年月22日付で掲載した関連記事です。


事務局より
 
   平成24年9月22日(土)、名古屋都市センターで開催された
  第11回堀川1000人調査隊会議で発表された、第11ステージの市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

    ⇒市民調査隊の調査報告書(概要版説明文付) のダウンロードはこちら

    ⇒    同 (詳細版) のダウンロードはこちら
   
    ⇒名古屋市による調査報告のダウンロードはこちら

    ⇒名古屋市の堀川再生のための取組みはこちら

    ⇒庄内川水分橋の頭首工開閉操作の実験についてはこちら

    ⇒第2回 一斉調査のご案内はこちら




 第11ステージにおける市民調査の結果について、調査隊会議でご報告した要点のみ
かいつまんでご紹介させていただきます。

 なお、各コメントにおける、「ページ数」は、上記、市民調査報告書(詳細版)
ページを意味しています。

 下記に縮小したページの写真とともに、会議で報告されたコメントを
ご紹介していますが、拡大版は、上記の資料をご覧ください。


   このレポートのポイントは、次の通りです。

   1.堀川は、名古屋市の浄化施策の効果がでて、きれいになってきている。 P13〜49

   2.金環日食の日の一斉調査によって明らかになってきた、大潮と堀川の関係。 P51〜74

   3.堀川で魚が大量死するメカニズムの一端をひもときました。 P75〜84



P13  木曽川導水が停止した平成22年3月以降の、名古屋市の実施している
     主な堀川水質改善施策の実施状況は次の通りです。

      名城水処理センターの高度処理の導入
      堀川右岸雨水滞水池の供用
      守山水処理センターの下水再生水の活用





P14  新たな水源の確保のため、守山水処理センターで膜ろ過された
     下水再生水を活用し、日最大4,000トン(毎秒換算約0.01トン)を
     堀川へ通水しています。
         通水開始  平成23年8月

       ただし、通水期間は概ね灌漑期(4月〜10月)で、
       11月〜3月は、庄内用水に通水がおこなわれています。
 



P16 堀川1000人調査隊の調査項目である、「水の汚れの印象」の
    報告からは、次のようなことが読み取れます。

     木曽川からの導水のあった3年間の夏場である、第1ステージから
    第5ステージまでの間、猿投橋〜松重橋間で改善が見られた。

     導水停止後の第7ステージは、いったん悪化した。

     しかし、その後、第9〜11ステージには改善の傾向が見られる。

     これは、P13で示した名古屋市の新たな水質改善施策の
    実施による効果が出ているのではないか考えられる。


     



P21
  同じような傾向が、透視度・あわ(P28)・におい(P31)でも見られる。



P25
  ただし、CODについてだけは、こうした改善傾向は確認できていない。



P28



P31



P22
  前日に雨が降ったあとの堀川の透視度について


春〜初夏においては、前日に雨が降ると、当日の降雨はなくても
堀川全域で、透視度が低くなっていることがわかりました。



(参考)
第10ステージで報告された、冬場の状況

前日に雨が降ったとき、(当日は降雨なし)
朝日橋から下流の港新橋までの区間では、透視度が
低くなることがわかりました。

 上流部では、透視度が若干悪化する傾向は見られましたが
下流部ほど顕著ではないことがわかりました。




P26  前日に雨が降ったあとの堀川のCODについて

春〜初夏においては、前日の降雨によるCODの顕著な変化は
確認できませんでした。


 ただし朝日橋より上流部では、希釈されるのか、CODが若干
下がっていました。



(参考)
 第10ステージで報告された、冬場の状況

前日に雨が降ると、上流部の猿投橋〜朝日橋間で、CODが
低くなりました。

 上流部では、雨が降ると、透視度は悪化しますが、CODは
希釈されるようです。

 朝日橋より下流では、雨によるCODの変化は、確認できませんでした。

 名古屋港に近いところでは、若干下がっていますが、誤差の範囲内
かもしれず、さらなる調査による確認が必要だと思います。





P35  堀川の錦橋で撮影された、堀川の色の変化です。














P36  第11ステージは、「緑褐色」の出現回数が多くなりました。
     水中の植物プランクトンが多かったものと考えられます。

     (赤潮の状態が多かったと考えられます)

P39  路上ゴミ(人工ゴミ)を目にする頻度は、減少傾向です。
     
     清掃活動の活発化、レジ袋の有料化などの社会的な変化も
     影響しているかもしれません。

     目にする頻度の高いのは、タバコの吸殻です。
 


P40
  路上ゴミは減少の傾向ですが、浮遊ゴミを目にする頻度は
     減っていません。

      浮遊ゴミは、船で定期的に清掃が行われますが、堀川に
     落下したゴミは潮の干満で感潮区間を何度も行き来して、
     長い時間滞留しているためと考えられます。

      浮遊ゴミは、特にプラスチック系が多く見られました。







P42  2008年2月に、堀川再生フォーラムの先生方が発表された
    論文があります。

      この研究によれば、堀川では、松重閘門の水域部が
     あることによって、堀川の浮遊ゴミが長期に滞留する
     傾向があると指摘しています。

      この松重閘門に、浮遊ゴミが滞留する引き潮時を狙って、
     効率的なゴミ回収作業ができるのではないか。

      この点を今回の調査隊会議で市民から行政に提言を
      行いました。





P47
  第11ステージでは、堀川1000人調査隊も参加して、
    生き物調査も行われました。

      5月20日に、名城公園付近で行われた調査では、
     体長50cmほどの巨大なティラピアも捕獲されました。

      名城水処理センター下流のこの水域では、巨大化した
     ワニガメ、トゲスッポンも発見、捕獲されています。

      下水処理水の水温が比較的高いこと、富栄養化されやすい
     ことなど、外来生物が大きく育つ要因を備えているのかも
     しれません。
     



P49
  木曽川上流の恵那農業高校と連携して、空心菜を利用した
     堀川浄化実験も行われています。

     第11ステージでは、3年目となる空心菜実験が紹介されました。



P51 
第11ステージには、5月21日に金環日食がありました。

     この特異な大潮の日に、堀川1000人調査隊は、有志による
    一斉調査を実施しました。

     この一斉調査により、大潮の日の堀川の実態に大きく
    迫ることができ、堀川で赤潮や青潮が発生するメカニズム、
    堀川で魚が大量死するメカニズムの解明に大きな一歩を
    踏み出しました。









P52  金環日食の大潮の日の、名古屋港の潮位差は、2m以上でした。

     大潮時の潮位差は、小潮時の約2倍でした。



P53
  堀川一斉調査の様子です。














P54  名古屋港の潮位の変動に伴い、堀川の各所で流れの向きの変化が
     市民調査隊により、実際に確認されました。



P55
 この日の干潮は、正午頃でしたが、干潮に近い時間帯に、各調査地点で
    水の汚れの印象が悪くなりました。


    また、午後、上げ潮に転じると、下流の海に近い地点から、水の汚れの
    印象が悪くなりました。












P56  調査の時間帯によって、水の色が変化してゆきました。

     特に中流域では、灰緑色が多く観察されました。
     これは、川底のヘドロがまきあがった影響と考えられます。


      また、中・下流域では、上げ潮時間帯に、緑褐色になりました。

      これは、赤潮〔植物プランクトンが多い状態)の影響と考えられます。

      ※この時期、名古屋港でも赤潮が発生していました。



P57
  錦橋で撮影された、堀川の色の変化です。

      13時頃には、錦橋〜納屋橋間でヘドロが巻き上がっていました。

      15時には緑褐色(赤潮状態)になっていました。












P58  ヘドロの巻上げや赤潮が確認された状態でしたが、
     一部の調査結果を除けば、においは少ない、という状態でした。



P59
  においの種類は、主にヘドロ臭でした。



















P60 中流域では、下げ潮時に、 下流域では、上げ潮時に
    川底からのあわを確認しました。

     中流域では、水位の低下による水圧の低下
     下流域では、流速の増加によるヘドロの巻きあげによって
     ヘドロの中で生成されたメタン等のガスが水中に解放され
     やすくなったものと考えられます。



P61
  透視度は、干潮時間帯に低下(悪化)しました。

     午後、上げ潮に転じると、透視度は一時的に回復しましたが
     その後は、低下(悪化)の傾向でした。

      干潮時間帯に透視度が悪化したのは、ヘドロの巻きあげによる
     影響であると考えられます。


      上げ潮時間帯にも透視度が悪化したのは、赤潮(植物プランクトン
     などの浮遊物)の遡上によって、透視度が下がったも
のと考えられ
     ます。




P62  CODは、干潮時間帯に増加しました。

     上げ潮に転じると、CODは一時的に回復した地点もありましたが
     その後も増加傾向でした。

      干潮時間帯にCODが増加(悪化)したのは、ヘドロの巻き上げ
     によるものだと考えられます。


      中流域では、上げ潮時間帯にCODが低下(改善)の傾向が
     見られました。遡上した塩水のCODが、堀川の主な水源(淡水)
     の値よりも低かったためと考えられます。





P63〜64
  名古屋市の河川計画課調査隊が、堀川の中・下流部は
       この日、赤潮状態であったことを確認しました。


      また堀川では、貧酸素状態である、青潮の状態に
     なっていないことを確認しました。


      その根拠は次の通りです。

     ・潮位が高くなると、表層の水の色が茶褐色(黒茶)になった。

     ・観測時間帯の表層(2割水深)の溶存酸素(DO)は、ほとんどが
      飽和、または過飽和の状態であった。

      潮位が高くなるにつれて値が大きくなった。
      特に下流部の大瀬子橋の値は、飽和値の2倍になった。

     ・卵腐臭がしなかった。

     ・観測時間帯の低層(8割水深)の溶存酸素量(DO)は
      飽和値の3割以上が残存していた。



P65
 植物プランクトンが多い状態でじゃ、光合成が行われ、水が
    アルカリ性になります。

     そのメカニズムの解説です。












P66 今年の初夏は、雨が少なく、日照時間が長くて、赤潮に
     なりやすい条件でした。



P67
 この5月21日は、18時20分頃、錦橋付近において、
    潮の先端部が移動する様子が見られました。


     大潮の強い遡上の力で、塩水が押し上げられて
     先端部分が潮目になってあらわれたものと考えられます。









P68  実は、2年前の平成21年7月22日の部分日食があった
     大潮の日にも、同じ錦橋で夕方18時45分頃、潮の先端部が
     移動する様子が観察されています。











P69
 堀川における、大潮時の塩水の遡上のイメージです。

    大潮の上げ潮時は、塩水が強い流れになって押し上げられます。

     このとき、塩水の塊と、淡水の塊が正面衝突して、せめぎあいを
    していると考えられます。

     この先端部分が、潮目になってあらわれたものと考えられます。

     堀川の大潮時は、塩水と淡水が強混合型になっていると
    考えられます。




P70
 一方、小潮の上げ潮時は、塩水が押し上げられる力が
    強くありません。

     このため、塩水と淡水が混ざろうとする力も弱く、比重の重い
    塩水は、淡水の下にもぐりこみます。

     堀川の小潮時は、塩水と淡水が弱混合型になっていると
    考えられます。




P71
 
 赤潮と青潮の発生メカニズムの一端を紐解いてみます。
 雨が降ると堀川に汚濁水が流入します。
 その汚濁水には、有機物、窒素、リンが含まれています。
その一部は沈降しますが、一部は動植物プランクトンの栄養分に
なります。


 植物プランクトンが増殖すると赤潮の状態になることがあります。
 今回の堀川一斉調査の時は、中・下流域で赤潮が確認されました。

 日照が十分あり、植物プランクトンが増殖する環境が整っていたものと
考えられます。
 水域に大量の有機物が存在すると、まず酸素がある環境を好む
生き物がその有機物をエネルギーとして活動をします。


 この時に有機物の分解に伴って水中の酸素が消費(呼吸)されます。
 この酸素の消費によって水域は貧酸素の状態になります。


 貧酸素の状態になると主に無酸素の底泥中で酸素がない環境を好む菌が
有機物をエネルギーとして活動を始めます。


 ここで活動する主な菌について説明をします。

 まず、硫酸還元菌です。硫酸イオンがある環境で活動します。

 硫酸イオンは海水にも多く含まれています。

 硫酸還元菌は有機物を分解する時に硫酸イオンを還元し、
硫化水素を発生します。


 卵が腐った時の臭いを放つガスです。硫化水素は、
底泥や水中に硫化物(H2S,HS−等)の形で蓄積されます。

 大潮時など潮位の変動が大きい時に硫化物(主にH2S,HS-)を含む
白濁化(硫化物の一部は酸素と反応して硫黄コロイドを生成)した水塊が
強混合状態で上流に移動する場合があります。

 これが堀川で見られる青潮の状態です。

 次にメタン生成菌です。
 硫酸イオンが少ない水域では、メタン生成菌が優占します。

 メタン生成菌は二酸化炭素と水素などでメタンガスを発生します。
 メタンガスは無臭です。


P72
今回の金環日食ではなぜ青潮の状態が観察されなかったのでしょうか?
 金環日食と部分日食の時の過去1箇月間の気象条件と潮位を
比較してみました。

 その結果、気象条件が大きく異なることが確認されました。
 特に汚濁水の流入に影響する降水量と植物プランクトンの
増殖に影響する日照時間が異なることに着目すると、以下のように
考えられます。
 金環日食の時(平成24年5月21日)は、6日前の長潮時
(潮の移動が少ない時期)に30mm/日の雨が降り、水域に汚濁水が
流入しました。


 その後、長時間の日照によって植物プランクトン(赤潮)が増加しました。


 5月21日の段階では光合成による昼間の溶存酸素の増加もあり、
有機汚濁の分解に伴う酸素消費による貧酸素水域の形成が
青潮を発生するほどの状態になっていなかったと考えられます。


 部分日食の時(平成21年7月22日)は、5日前の長潮時
(潮の移動が少ない時期)に100mm/日を超える雨が降り、
水域に大量の汚濁水が流入しました。

 流入した大量の有機汚濁の分解により酸素が消費されて
水域が貧酸素状態になり、中・下流域で青潮が発生したと考えられます。



P73
 金環日食の平成24年5月21日の前1箇月間の気象条件や
    潮位の変化です。雨が少なく、日照時間が長かったことが
    わかります。














P74 部分日食の平成21年7月22日の前1箇月間の気象条件や
    潮位の変化です。

    今年の金環日食の時よりも降水量が多く、日照時間が短いことが
    わかります。



P75
 
どのような状況で貧酸素になるのでしょうか?
 堀川で発生する死魚の原因の多くが酸欠であることから、
調査隊が今までに確認した死魚の発生に関する知見をもとに、
堀川で貧酸素になるときの状況を整理してみました。
 調査隊の報告から死魚がどのような時に発生したのかを整理してみると、
冬が終わり水温があがる4月〜6月、大潮の時、雨が降ったあとなどの
共通点が見えてきました。






P76 
 調査隊の結果から得られた知見をさらに深めるため、名古屋市が
公表している堀川における過去の死魚の記録を整理してみました。
 この結果から死魚は
  @4月下旬〜6月に発生、
  A降雨の後に発生、
  B主に中潮〜大潮時に発生、
  C中・下流域で発生している

 という共通点が見えてきました。


 貧酸素の状態になる理由としては、冬季に川底に堆積した有機物が
春になり分解にする時に酸素が消費されること、

 降雨に伴い合流式下水道の雨水吐から汚濁水(有機物)が流出して
酸素が消費されこと、

 降雨に伴う出水により河床に堆積した有機物が撹拌されて酸素が
消費されることなどが考えられました。


 そして、この貧酸素によって死魚が発生するのは、堀川をコノシロ、ボラ、
ハゼなどの汽水・回遊魚が遡上し、これらの魚が貧酸素の水塊に逃げ場を
奪われた時です。




P77
 
 堀川を遡上するコノシロ、ボラ、ハゼなどの汽水・回遊魚が
貧酸素の水塊に逃げ場を奪われる時の状況の一例を
貧酸素水塊の移動のイメージで表現してみました。



P79
 堀川における過去の死魚の記録です。

    平成19年には、5月28日にコノシロの死魚の記録が
   ありました。

    このときは、中潮で、直前にまとまった降雨がありました。







P80 平成20年には、木曽川導水できれいになった堀川に
    ボラが大量に遡上しました。

     そのボラが、2月23日と3月6日に大量に酸欠死しました。

     このときは、いずれも大潮の日でした。


     また6月23日には、ハゼの死魚の記録がありました。

     このときは中潮で、直前にまとまった降雨がありました。



P81
 平成21年には、死魚の記録がありませんでした。














P82

 平成22年には、4月30日と5月21日に死魚の記録がありました。

 うち4月30日は大潮で、その直前にまとまった降雨がありました。


P83

 昨年、平成23年には、5月2日と16日にコノシロの死魚が
確認されました。

 いずれも大潮のときで、その直前にまとまった降雨がありました。







P84


今年(平成24年)の堀川の死魚の記録です。
今年は6月19日にコノシロの死魚が確認されました。

この日は台風4号が接近し、満潮位が高くなりました。
貧酸素水塊が中流域に押し上げられて、遡上していたコノシロが
逃げ場を失って死んだものと思われます。



P85〜96

市民意識の向上 学習会などを整理しました。












以下は、平成24年2月25日付で掲載した関連記事です。


事務局より
 
   平成24年2月25日(土)、名城水処理センターで開催された
  第10回堀川1000人調査隊会議で報告された、5年間の市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

    ⇒市民調査隊の調査報告書(概要版) 説明文付 のダウンロードはこちら

    ⇒    同 (詳細版) のダウンロードはこちら
   
    ⇒名古屋市による水質調査報告 のダウンロードはこちら

    ⇒名古屋市の堀川再生のための取組みはこちら

    ⇒朝日橋付近に堰を設置する市民提案に対するシミュレーション結果はこちら

    ⇒庄内川水分橋の頭首工開閉操作の実験開始についてはこちら


5年間の市民調査の結果について、調査隊会議でご報告した要点のみ
かいつまんでご紹介させていただきます。

 なお、各コメントにおける、「ページ数」は、上記、市民調査報告書(詳細版)
ページを意味しています。

 下記に縮小したページの写真とともに、会議で報告されたコメントを
ご紹介していますが、拡大版は、上記の資料をご覧ください。


   なお、補足事項として、下記の報告でもおわかりになると思いますが、
  堀川には、次のような問題点・今後の調査活動のポイントがあることが
  クローズアップされました。

    堀川の水源の水質をもっと調べることが、堀川の実態解明には必要である。
      庄内川・新堀川・名古屋港・水処理センターなど

    堀川には中下流部に問題が多い。
      新堀川の水が遡上してくることとも関係が深いように思われるので
      今後、堀川と新堀川を一緒に調べてゆく必要がありそうである。

    雨が降ると浮遊ゴミが増えるのではないか、と思われる。
      現状は、調査データが不足しているので、さらにデータを積み重ねる必要がある。


   第11ステージ以降の課題として意識してゆきたいと思います。

以下、報告内容です。



5ページ

 堀川の概要について。

 水の汚れの原因は、家庭や工場や店舗からの排水です。

 たくさん雨が降ると汚れた水がそのまま放流されることがあります。

 植物プランクトンの繁殖のもと(窒素やリン)は、家庭や工場や
店舗などの排水に含まれています。

 堀川では、潮の干満の差が2m以上のときもあります。

 赤潮(富栄養化)の状態の写真
 青潮(酸素不足)の状態の写真をご参考にしてください。



9ページ

 5年間の活動は、木曽川導水社会実験を市民の視線で検証するのと
あわせて、堀川を愛する人の輪を広げてきました。

 平成19年4月4月に、165隊、2,262人でスタートした
第3次堀川1000人調査隊は、平成24年2月20日現在で
2,379隊、21,334人に大きく成長しました。

 
   ⇒第1次調査隊、第2次調査隊から、第3次調査隊への流れは
     こちらを参照ください。


 堀川を愛する人の輪は、時間をかけて少しずつ大きくなっていきました。

 時々、ぽんと人数が伸びているところは、環境デーなごや、
なごや水フェスタ、堀川フラワーフェスティバルなどのイベント時に
調査隊の皆さんが堀川応援隊の勧誘活動をしていただいた成果です。

 堀川に関心をもち、堀川に愛着をもつ人の輪を広げることで
市民の意識は5年間で、大きく高まりました。


11ページ


 堀川1000人調査隊の大きな特徴は、調査の件数(サンプル数)の
多さです。

 第1ステージ〜第10ステージの5年間で、インターネットを使って
報告された定点観測のデータ数は、2,457件。

 行政の調査は、月1回、様々な箇所で行われますが、5年間で
約500件程度です。

 市民のこの多大なサンプル数でもって、堀川の実態解明は
大きく前進しました。


12ページ

 これまでの調査でわかってきたこと

 堀川の猿投橋から下流の区間(感潮区間)では、潮の干満によって
水域の様子が時々刻々と変化していることがわかってきました。

 また定点観測隊がたくさんの観測(いろいろな場所、潮の状態、
時間帯に観測)することで、堀川の平均的な状態をとらえることができ、
その変化の傾向がとらえられることがわかりました。

 そして、この5年間の成果として次のようなことを指摘することが
できました。

 1.猿投橋〜松重橋間で、木曽川導水による浄化の効果を
   確認しました。

 2.堀川の浄化と再生を願う市民のネットワークが拡大しました。

 3.清掃活動が活発化するなど、市民の浄化意識が向上しました。


 


16ページ


 潮の干満と堀川への影響について

 堀川は、潮の干満の影響を受けています。
 2m以上水位が変化する日もあります。

 昼間の干潮時の水位は、「秋〜冬」よりも、「春〜夏」の方が
低いということもわかりました。
 これは、地球の自転軸が傾いていることと関係があるようです。

 ※堀川1000人調査隊の定点観測は、通常昼間に行います。
   冬場と比べて、夏場の干潮時は水位が低いため、
  調査にゆく昼は、夜の干潮のときと比べて水質が悪い
  可能性があります。

   そのため、夏場は、冬場とくらべて堀川の印象が悪いという
   結果につながった可能性があります。



17ページ

 社会実験の主な施策の実施状況

 今回の社会実験では、木曽川からの導水は、平成19年4月から
22年3月まで行われました。

 木曽川からの導水が終わったあと、堀川では、
名城水処理センターのろ過装置の導入や、
堀川右岸雨水滞水池の供用開始などがあり、
特に上流部では、導水が終わった後、
堀川の水質が単純に悪くなったといえない現象が
確認されました。




18ページ

 堀川の水質と関係する水域の水質について

 木曽川の水質のうち、透視度やCODは比較的安定していることが
わかります。

 



19ページ


 それに比べて、庄内川の水質は、木曽川の水と比べて透視度が低く
CODが高いことがわかります。

 また、水質にはばらつきがあることがわかります。

  
 一方、名古屋港の水質は、春〜夏の値が、秋〜冬の値よりも悪く
ばらつきが大きいことがわかります。

 名古屋港の水は、潮の干満によって堀川にはいってくるため
堀川の水質への大きいこともわかってきています。




25〜26ページ


 水の汚れの印象について
 
 夏場は、導水期間中に比べ、導水停止後は、
城北橋〜朝日橋〜松重橋間で、印象が大きく悪化しています。

 夏場の導水による改善の効果は、この区間で顕著に
見られたことがわかりました。



 一方、冬場は、城北橋〜朝日橋間で導水期間中に比べ、
導水停止後は、印象が大きく悪化しました。

 夏場と比べて、冬場は、やや上流で改善傾向が
見られたことがわかりました。

 この原因については、名古屋港の水質が冬場によくなって、
松重橋あたりまでさかのぼってよい影響を与えていることも
推測されます。

29ページ

 水の汚れの印象の評価ポイントについて

  
「きれい」は透明感で、「きたない」は色で!


 調査隊の隊員が、「きれい〜どちらでもない」と感じたときは
主に「透明感」で評価していることがわかりました。


 逆に、「ややきたない〜きたない」と感じたときは、主に
「色」で評価していることがわかりました。



30ページ

 前日に雨が降ったときの水の汚れの印象について

  上流部では、雨が降ると主に「透明感」で評価していることが
 わかりました。

     上流部では、雨が降ったあとは透明度が下がる!

  中下流部では、雨が降ると、「におい」で評価していることが
 わかりました。

     中下流部では、雨が降ったあとはにおいが気になる!


32ページ


 透視度の変化

 夏場は、冬場よりも透視度が低いことがわかりました。

 導水中の夏場は上流部の猿投橋〜城北橋間で改善が
みられました。

 城北橋〜朝日橋付近は、5年間を通じて、他の区間と比べても
平均の透視度が低いことがわかりました。
  これは、市民の許容範囲である透視度70cmを下回って
いました。

  この区間は、名城水処理センター付近と一致していて、
 川底にたまったSSなどが、水処理センターから排水される水に
 よって攪拌されていることも推測されます。

  同水処理センターでは、平成22年5月より、ろ過装置が
 導入されていますので、放流水に含まれるSSは減っているため
 透視度が、今後どのように変化していくかも、着眼点のひとつです。


 


33ページ


 夏場の透視度の変化

 導水期間中と、導水停止後の比較では、城北橋〜朝日橋間で
透視度が大きく悪化しました。

 これにより、夏場の導水効果は、城北橋〜朝日橋間で顕著であったことが
わかりました。




 冬場の透視度の変化


 導水期間中と、導水停止後の比較では、城北橋〜朝日橋間と
朝日橋〜大瀬子橋間で透視度が大きく悪化しました。
  
  これにより、冬場の導水効果は、城北橋〜朝日橋間と
朝日橋〜大瀬子橋間で顕著であったことがわかりました。

 


36ページ


 水の汚れの変化と透視度(透明感)の平均値の関係

   
「きれい」の許容範囲は、透視度70cm以上。


 市民が見た堀川では、市民の許容範囲(きれい〜どちらともいえない)が
透視度70cm以上であることが統計処理によりわかりました。

 これは、5年間に約2,500件のデータを積み上げた分析結果であり
堀川1000人調査隊の大きな成果であると思います。


37ページ


 前日に雨が降ったあとの堀川の透視度について


 前日に雨が降ったとき、(当日は降雨なし)
朝日橋から下流の港新橋までの区間では、透視度が
低くなることがわかりました。



 上流部では、透視度が若干悪化する傾向は見られましたが
下流部ほど顕著ではないことがわかりました。


40ページ


 CODの変化

 夏場は、冬場よりもCODが高いことがわかりました。

 下流部の松重橋〜港新橋間は、上中流部の猿投橋〜松重橋間よりも
CODが低いことがわかりました。

 ※堀川には中流部に問題がありそうだということがわかりました。


41ページ


 夏場のCODの変化

 導水中と導水停止後を比較した結果、夏場についてはCODの
大きな悪化は見られませんでした。

 つまり、夏場については、導水によるCODの改善は確認できませんでした。


 冬場のCODの変化

 導水中と導水停止後を比較した結果、冬場については
上流部の猿投橋〜城北橋の区間、中流部の朝日橋〜松重橋区間で
CODが悪化しました。

 上流部では、導水によるCODの顕著な改善が見られました。

 中流部での改善は、大きな数値の変化ではないこと、名古屋港からの
海水の遡上の影響もあると思われることから、導水による改善であるか
どうかは確認ができませんでした。


 


44ページ


 前日に雨が降ったあとの堀川のCODについて

 
前日に雨が降ると、上流部の猿投橋〜朝日橋間で、CODが
低くなりました。

 上流部では、雨が降ると、透視度は悪化しますが、CODは
希釈されるようです。

 朝日橋より下流では、雨によるCODの変化は、確認できませんでした。

 名古屋港に近いところでは、若干下がっていますが、誤差の範囲内
かもしれず、さらなる調査による確認が必要だと思います。




47ページ

 あわの発生状況について

 導水期間中に、猿投橋〜城北橋間と、朝日橋〜松重橋間で
発生頻度が減少しました。

 導水終了後に、はっきりと増加に転じたというところまでは
確認できておらず、今後時間をかけて悪化してゆく可能性もあり
さらなる調査による確認が必要だと思います。


49ページ


 夏場あわの発生状況について

 朝日橋〜松重橋間では、他の区間よりも
川底からのあわの割合が多いという結果が確認されました。






50ページ


 冬場あわの発生状況について
 
 導水停止後に、あわの発生頻度が顕著に増加した区間は
ありませんでした。


53ページ


 においについて

左上写真  大潮の下げ潮時間帯の錦橋で、ヘドロが巻き上がり
        ヘドロ臭がした。

左下写真  大潮の下げ潮時間帯の納屋橋で、ヘドロが巻き上がり
        ヘドロ臭がした。

右上写真  大潮の上げ潮時間帯の納屋橋で、腐卵臭がした。

右下写真  大潮の満潮時間帯の錦橋で、強烈な腐卵臭がした。



55ページ


 においの発生状況

 導水中に、上流部の猿投橋〜城北橋間と、
中流部の朝日橋〜松重橋間で、「ひどくにおう〜におう」が
減少しました。


57ページ


 夏場のにおいの発生状況

 導水中と比較して、導水停止後は、名城水処理センター付近の、
城北橋〜朝日橋間、中下流部の松重橋〜大瀬子橋間で、
「ひどくにおう〜におう」が顕著に増加した。








58ページ

 冬場のにおいの発生状況

 導水中と比較して、導水停止後は、
中下流部の松重橋〜大瀬子橋間で、
「ひどくにおう〜におう」が顕著に増加した。



59ページ

 においの縦断的変化

 においの目立つ場所
   中流部の朝日橋〜景雲橋
         伝馬橋〜天王崎橋
   中下流部の尾頭橋〜大瀬子橋

 
  ※名工大河川調査隊のレポートより抜粋

  平成21年5月26日 大潮 五条橋・中橋で観測

  水位が高いうちは、水に透明感があり、導水の効果を感じることが
 できました。
   しかし、水位が下がってくると、一気に水が黒くなり、
 SS濃度も一気に上がり、側岸部に黒いものがわいてくるように
 現れてきました。
   においも激しくなりました。

   全面ヘドロで覆われているという状態ではなく、これでも改善
  されているのかもしれませんが、かなり見た目が悪く、においも
  発生しています。
   黒いものが、水の中へ墨絵のように流出している様子も
  見えました。

   


60ページ

 においの種類

 「どぶのにおい」と、「ヘドロのにおい」が8割以上を占めました。


61ページ

 色について

 錦橋で撮影されたものです。

 右上8番の写真
 
 淡灰黄緑色のときには、
 「卵の腐ったにおい(硫化水素臭)がする」
 「魚が苦しそうにしている」などの報告もありました。

  この色は、大潮のときより、中潮から小塩の間に
 多く見られることもわかりました。
 
  左下の写真
 平成21年7月22日  大潮 日食 午後7時頃(満潮時間帯)
   錦橋(下流向き、納屋橋方面)

  上流側は、灰黄緑色の水、下流側は少し青みがかった
 灰色の水だった。

  灰色の水があるあたりは、卵の腐った強烈なにおいが
 たちこめていた。

  そしてボラの幼魚が苦しそうに鼻上げ状態、アメリカザリガニが
 水際まで上がっていた。  撮影:かわせみ調査隊


62ページ

 出現した色の構成比について

  多く出現した色は、淡灰黄緑色、灰黄緑色、灰緑色でした。



63ページ

 「きたない〜ややきたない」のときに出現した主な色

   主に、「緑色」、「黄灰色」、「淡灰黄緑色」、「灰黄緑色」、
  「灰緑色」、「濃灰色」でした。


   「淡灰黄緑色」は、主に青潮(酸欠)の状態になったときの色です。

   「濃灰色」は、主にヘドロが巻き上がったときの色です。
   この色は、主に春〜初夏のステージで見られます。


64ページ

  大雨のあとの中川運河や堀川には
 おびただしい量のゴミが浮遊していました。


65ページ

  ゴミについて


 堀川に浮遊するゴミ(人工ゴミ)は、プラスチック系のものが
多く見られました。


67ページ

  浮遊物(人工ゴミ)の縦断的な変化


 浮遊物(人工ゴミ)が多い区間は

     城北橋付近
     松重橋〜大瀬子橋間 でした。


69ページ

  路上ゴミについて  確認頻度の変化


    路上ゴミは、減少傾向にあります。

    清掃活動の活発化、レジ袋の有料化などの社会的な
   環境の変化も影響しているのかもしれません。

    目にする頻度が最も高いのは、タバコの吸殻です。


73ページ

  生き物について


 ボラの大量遡上と大量死について

  平成20年に、堀川にボラが大量遡上して話題になりました。

  そのボラが、2月と3月に2回大量死する事件が発生しました。

  そのいずれも、大潮のときでした。

   また、いずれも、木曽川からの導水が停止、または中断していました。
  
   大量死の原因は?

     酸素不足が原因ではないかと考えられています。
     酸素不足になった原因としては、以下が想定されます。

     ・巻き上げたヘドロが水中の酸素を消費した。
     ・大量のボラが呼吸することで、水中の酸素が消費した。


74ページ

   汽水・回遊魚の遡上について


   堀川の中流域で、平成22年と23年の4月中旬から5月上旬に
  かけて、魚が大量死する事件が発生しました。

    平成22年と23年の共通点は?

    1.各年の最初の大量死であること(冬場にはない)
    2.魚種がコノシロであること。
    3.気温が15℃前後であること
    4.潮まわりが大潮であること
    5.まとまった雨がふったあとであること

    春先の大潮の時期で、まとまった雨が降ったあとに魚(コノシロ)が
    2年連続で大量死しているというのは興味深いことであり、
    今後も観察を続けると面白い発見につながる可能性があります。
   

76ページ

   
堀川の外来種について

   
左下の写真  

     トゲスッポンは、発見した2匹とも捕獲されました。

     ワニガメは、4匹発見され、うち2匹が捕獲されました。


83ページ〜91ページ

 第10ステージ以降の半年間(平成23年9月〜24年2月)の
間に開催された、学習会、イベントなどをまとめたものです。

 わずか半年だけでも、これほど活発な活動が展開されていることは
とても素晴らしいことだと思います。










   おともだちを誘って、みんなでたいっぱい調査隊、応援隊を作りましょう。

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