堀川を清流に
  堀川1000人調査隊2010

         活動の記録



   第10回 堀川1000人調査隊会議にて報告された事柄
      
     木曽川導水社会実験を5年間観察を続けた

      堀川1000人調査隊の、市民調査の総括報告。

       平成24年2月25日(土)  於:名城水処理センター

        ⇒新聞・テレビ等の報道はこちら

        ⇒第10回調査隊会議の様子はこちら

        ⇒名古屋市による水質調査結果の報告はこちら



事務局より
 
   平成24年2月25日(土)、名城水処理センターで開催された
  第10回堀川1000人調査隊会議で報告された、5年間の市民調査の
  総括報告をご紹介いたします。

    ⇒市民調査隊の調査報告書(概要版) 説明文付 のダウンロードはこちら

    ⇒    同 (詳細版) のダウンロードはこちら
   
    ⇒名古屋市による水質調査報告 のダウンロードはこちら

    ⇒名古屋市の堀川再生のための取組みはこちら

    ⇒朝日橋付近に堰を設置する市民提案に対するシミュレーション結果はこちら

    ⇒庄内川水分橋の頭首工開閉操作の実験開始についてはこちら


5年間の市民調査の結果について、調査隊会議でご報告した要点のみ
かいつまんでご紹介させていただきます。

 なお、各コメントにおける、「ページ数」は、上記、市民調査報告書(詳細版)
ページを意味しています。

 下記に縮小したページの写真とともに、会議で報告されたコメントを
ご紹介していますが、拡大版は、上記の資料をご覧ください。


   なお、補足事項として、下記の報告でもおわかりになると思いますが、
  堀川には、次のような問題点・今後の調査活動のポイントがあることが
  クローズアップされました。

    堀川の水源の水質をもっと調べることが、堀川の実態解明には必要である。
      庄内川・新堀川・名古屋港・水処理センターなど

    堀川には中下流部に問題が多い。
      新堀川の水が遡上してくることとも関係が深いように思われるので
      今後、堀川と新堀川を一緒に調べてゆく必要がありそうである。

    雨が降ると浮遊ゴミが増えるのではないか、と思われる。
      現状は、調査データが不足しているので、さらにデータを積み重ねる必要がある。


   第11ステージ以降の課題として意識してゆきたいと思います。

以下、報告内容です。



5ページ

 堀川の概要について。

 水の汚れの原因は、家庭や工場や店舗からの排水です。

 たくさん雨が降ると汚れた水がそのまま放流されることがあります。

 植物プランクトンの繁殖のもと(窒素やリン)は、家庭や工場や
店舗などの排水に含まれています。

 堀川では、潮の干満の差が2m以上のときもあります。

 赤潮(富栄養化)の状態の写真
 青潮(酸素不足)の状態の写真をご参考にしてください。



9ページ

 5年間の活動は、木曽川導水社会実験を市民の視線で検証するのと
あわせて、堀川を愛する人の輪を広げてきました。

 平成19年4月4月に、165隊、2,262人でスタートした
第3次堀川1000人調査隊は、平成24年2月20日現在で
2,379隊、21,334人に大きく成長しました。

 
   ⇒第1次調査隊、第2次調査隊から、第3次調査隊への流れは
     こちらを参照ください。


 堀川を愛する人の輪は、時間をかけて少しずつ大きくなっていきました。

 時々、ぽんと人数が伸びているところは、環境デーなごや、
なごや水フェスタ、堀川フラワーフェスティバルなどのイベント時に
調査隊の皆さんが堀川応援隊の勧誘活動をしていただいた成果です。

 堀川に関心をもち、堀川に愛着をもつ人の輪を広げることで
市民の意識は5年間で、大きく高まりました。


11ページ


 堀川1000人調査隊の大きな特徴は、調査の件数(サンプル数)の
多さです。

 第1ステージ〜第10ステージの5年間で、インターネットを使って
報告された定点観測のデータ数は、2,457件。

 行政の調査は、月1回、様々な箇所で行われますが、5年間で
約500件程度です。

 市民のこの多大なサンプル数でもって、堀川の実態解明は
大きく前進しました。


12ページ

 これまでの調査でわかってきたこと

 堀川の猿投橋から下流の区間(感潮区間)では、潮の干満によって
水域の様子が時々刻々と変化していることがわかってきました。

 また定点観測隊がたくさんの観測(いろいろな場所、潮の状態、
時間帯に観測)することで、堀川の平均的な状態をとらえることができ、
その変化の傾向がとらえられることがわかりました。

 そして、この5年間の成果として次のようなことを指摘することが
できました。

 1.猿投橋〜松重橋間で、木曽川導水による浄化の効果を
   確認しました。

 2.堀川の浄化と再生を願う市民のネットワークが拡大しました。

 3.清掃活動が活発化するなど、市民の浄化意識が向上しました。


 


16ページ


 潮の干満と堀川への影響について

 堀川は、潮の干満の影響を受けています。
 2m以上水位が変化する日もあります。

 昼間の干潮時の水位は、「秋〜冬」よりも、「春〜夏」の方が
低いということもわかりました。
 これは、地球の自転軸が傾いていることと関係があるようです。

 ※堀川1000人調査隊の定点観測は、通常昼間に行います。
   冬場と比べて、夏場の干潮時は水位が低いため、
  調査にゆく昼は、夜の干潮のときと比べて水質が悪い
  可能性があります。

   そのため、夏場は、冬場とくらべて堀川の印象が悪いという
   結果につながった可能性があります。



17ページ

 社会実験の主な施策の実施状況

 今回の社会実験では、木曽川からの導水は、平成19年4月から
22年3月まで行われました。

 木曽川からの導水が終わったあと、堀川では、
名城水処理センターのろ過装置の導入や、
堀川右岸雨水滞水池の供用開始などがあり、
特に上流部では、導水が終わった後、
堀川の水質が単純に悪くなったといえない現象が
確認されました。




18ページ

 堀川の水質と関係する水域の水質について

 木曽川の水質のうち、透視度やCODは比較的安定していることが
わかります。

 



19ページ


 それに比べて、庄内川の水質は、木曽川の水と比べて透視度が低く
CODが高いことがわかります。

 また、水質にはばらつきがあることがわかります。

  
 一方、名古屋港の水質は、春〜夏の値が、秋〜冬の値よりも悪く
ばらつきが大きいことがわかります。

 名古屋港の水は、潮の干満によって堀川にはいってくるため
堀川の水質への大きいこともわかってきています。




25〜26ページ


 水の汚れの印象について
 
 夏場は、導水期間中に比べ、導水停止後は、
城北橋〜朝日橋〜松重橋間で、印象が大きく悪化しています。

 夏場の導水による改善の効果は、この区間で顕著に
見られたことがわかりました。



 一方、冬場は、城北橋〜朝日橋間で導水期間中に比べ、
導水停止後は、印象が大きく悪化しました。

 夏場と比べて、冬場は、やや上流で改善傾向が
見られたことがわかりました。

 この原因については、名古屋港の水質が冬場によくなって、
松重橋あたりまでさかのぼってよい影響を与えていることも
推測されます。

29ページ

 水の汚れの印象の評価ポイントについて

  
「きれい」は透明感で、「きたない」は色で!


 調査隊の隊員が、「きれい〜どちらでもない」と感じたときは
主に「透明感」で評価していることがわかりました。


 逆に、「ややきたない〜きたない」と感じたときは、主に
「色」で評価していることがわかりました。



30ページ

 前日に雨が降ったときの水の汚れの印象について

  上流部では、雨が降ると主に「透明感」で評価していることが
 わかりました。

     上流部では、雨が降ったあとは透明度が下がる!

  中下流部では、雨が降ると、「におい」で評価していることが
 わかりました。

     中下流部では、雨が降ったあとはにおいが気になる!


32ページ


 透視度の変化

 夏場は、冬場よりも透視度が低いことがわかりました。

 導水中の夏場は上流部の猿投橋〜城北橋間で改善が
みられました。

 城北橋〜朝日橋付近は、5年間を通じて、他の区間と比べても
平均の透視度が低いことがわかりました。
  これは、市民の許容範囲である透視度70cmを下回って
いました。

  この区間は、名城水処理センター付近と一致していて、
 川底にたまったSSなどが、水処理センターから排水される水に
 よって攪拌されていることも推測されます。

  同水処理センターでは、平成22年5月より、ろ過装置が
 導入されていますので、放流水に含まれるSSは減っているため
 透視度が、今後どのように変化していくかも、着眼点のひとつです。


 


33ページ


 夏場の透視度の変化

 導水期間中と、導水停止後の比較では、城北橋〜朝日橋間で
透視度が大きく悪化しました。

 これにより、夏場の導水効果は、城北橋〜朝日橋間で顕著であったことが
わかりました。




 冬場の透視度の変化


 導水期間中と、導水停止後の比較では、城北橋〜朝日橋間と
朝日橋〜大瀬子橋間で透視度が大きく悪化しました。
  
  これにより、冬場の導水効果は、城北橋〜朝日橋間と
朝日橋〜大瀬子橋間で顕著であったことがわかりました。

 


36ページ


 水の汚れの変化と透視度(透明感)の平均値の関係

   
「きれい」の許容範囲は、透視度70cm以上。


 市民が見た堀川では、市民の許容範囲(きれい〜どちらともいえない)が
透視度70cm以上であることが統計処理によりわかりました。

 これは、5年間に約2,500件のデータを積み上げた分析結果であり
堀川1000人調査隊の大きな成果であると思います。


37ページ


 前日に雨が降ったあとの堀川の透視度について


 前日に雨が降ったとき、(当日は降雨なし)
朝日橋から下流の港新橋までの区間では、透視度が
低くなることがわかりました。



 上流部では、透視度が若干悪化する傾向は見られましたが
下流部ほど顕著ではないことがわかりました。


40ページ


 CODの変化

 夏場は、冬場よりもCODが高いことがわかりました。

 下流部の松重橋〜港新橋間は、上中流部の猿投橋〜松重橋間よりも
CODが低いことがわかりました。

 ※堀川には中流部に問題がありそうだということがわかりました。


41ページ


 夏場のCODの変化

 導水中と導水停止後を比較した結果、夏場についてはCODの
大きな悪化は見られませんでした。

 つまり、夏場については、導水によるCODの改善は確認できませんでした。


 冬場のCODの変化

 導水中と導水停止後を比較した結果、冬場については
上流部の猿投橋〜城北橋の区間、中流部の朝日橋〜松重橋区間で
CODが悪化しました。

 上流部では、導水によるCODの顕著な改善が見られました。

 中流部での改善は、大きな数値の変化ではないこと、名古屋港からの
海水の遡上の影響もあると思われることから、導水による改善であるか
どうかは確認ができませんでした。


 


44ページ


 前日に雨が降ったあとの堀川のCODについて

 
前日に雨が降ると、上流部の猿投橋〜朝日橋間で、CODが
低くなりました。

 上流部では、雨が降ると、透視度は悪化しますが、CODは
希釈されるようです。

 朝日橋より下流では、雨によるCODの変化は、確認できませんでした。

 名古屋港に近いところでは、若干下がっていますが、誤差の範囲内
かもしれず、さらなる調査による確認が必要だと思います。




47ページ

 あわの発生状況について

 導水期間中に、猿投橋〜城北橋間と、朝日橋〜松重橋間で
発生頻度が減少しました。

 導水終了後に、はっきりと増加に転じたというところまでは
確認できておらず、今後時間をかけて悪化してゆく可能性もあり
さらなる調査による確認が必要だと思います。


49ページ


 夏場あわの発生状況について

 朝日橋〜松重橋間では、他の区間よりも
川底からのあわの割合が多いという結果が確認されました。






50ページ


 冬場あわの発生状況について
 
 導水停止後に、あわの発生頻度が顕著に増加した区間は
ありませんでした。


53ページ


 においについて

左上写真  大潮の下げ潮時間帯の錦橋で、ヘドロが巻き上がり
        ヘドロ臭がした。

左下写真  大潮の下げ潮時間帯の納屋橋で、ヘドロが巻き上がり
        ヘドロ臭がした。

右上写真  大潮の上げ潮時間帯の納屋橋で、腐卵臭がした。

右下写真  大潮の満潮時間帯の錦橋で、強烈な腐卵臭がした。



55ページ


 においの発生状況

 導水中に、上流部の猿投橋〜城北橋間と、
中流部の朝日橋〜松重橋間で、「ひどくにおう〜におう」が
減少しました。


57ページ


 夏場のにおいの発生状況

 導水中と比較して、導水停止後は、名城水処理センター付近の、
城北橋〜朝日橋間、中下流部の松重橋〜大瀬子橋間で、
「ひどくにおう〜におう」が顕著に増加した。








58ページ

 冬場のにおいの発生状況

 導水中と比較して、導水停止後は、
中下流部の松重橋〜大瀬子橋間で、
「ひどくにおう〜におう」が顕著に増加した。



59ページ

 においの縦断的変化

 においの目立つ場所
   中流部の朝日橋〜景雲橋
         伝馬橋〜天王崎橋
   中下流部の尾頭橋〜大瀬子橋

 
  ※名工大河川調査隊のレポートより抜粋

  平成21年5月26日 大潮 五条橋・中橋で観測

  水位が高いうちは、水に透明感があり、導水の効果を感じることが
 できました。
   しかし、水位が下がってくると、一気に水が黒くなり、
 SS濃度も一気に上がり、側岸部に黒いものがわいてくるように
 現れてきました。
   においも激しくなりました。

   全面ヘドロで覆われているという状態ではなく、これでも改善
  されているのかもしれませんが、かなり見た目が悪く、においも
  発生しています。
   黒いものが、水の中へ墨絵のように流出している様子も
  見えました。

   


60ページ

 においの種類

 「どぶのにおい」と、「ヘドロのにおい」が8割以上を占めました。


61ページ

 色について

 錦橋で撮影されたものです。

 右上8番の写真
 
 淡灰黄緑色のときには、
 「卵の腐ったにおい(硫化水素臭)がする」
 「魚が苦しそうにしている」などの報告もありました。

  この色は、大潮のときより、中潮から小塩の間に
 多く見られることもわかりました。
 
  左下の写真
 平成21年7月22日  大潮 日食 午後7時頃(満潮時間帯)
   錦橋(下流向き、納屋橋方面)

  上流側は、灰黄緑色の水、下流側は少し青みがかった
 灰色の水だった。

  灰色の水があるあたりは、卵の腐った強烈なにおいが
 たちこめていた。

  そしてボラの幼魚が苦しそうに鼻上げ状態、アメリカザリガニが
 水際まで上がっていた。  撮影:かわせみ調査隊


62ページ

 出現した色の構成比について

  多く出現した色は、淡灰黄緑色、灰黄緑色、灰緑色でした。



63ページ

 「きたない〜ややきたない」のときに出現した主な色

   主に、「緑色」、「黄灰色」、「淡灰黄緑色」、「灰黄緑色」、
  「灰緑色」、「濃灰色」でした。


   「淡灰黄緑色」は、主に青潮(酸欠)の状態になったときの色です。

   「濃灰色」は、主にヘドロが巻き上がったときの色です。
   この色は、主に春〜初夏のステージで見られます。


64ページ

  大雨のあとの中川運河や堀川には
 おびただしい量のゴミが浮遊していました。


65ページ

  ゴミについて


 堀川に浮遊するゴミ(人工ゴミ)は、プラスチック系のものが
多く見られました。


67ページ

  浮遊物(人工ゴミ)の縦断的な変化


 浮遊物(人工ゴミ)が多い区間は

     城北橋付近
     松重橋〜大瀬子橋間 でした。


69ページ

  路上ゴミについて  確認頻度の変化


    路上ゴミは、減少傾向にあります。

    清掃活動の活発化、レジ袋の有料化などの社会的な
   環境の変化も影響しているのかもしれません。

    目にする頻度が最も高いのは、タバコの吸殻です。


73ページ

  生き物について


 ボラの大量遡上と大量死について

  平成20年に、堀川にボラが大量遡上して話題になりました。

  そのボラが、2月と3月に2回大量死する事件が発生しました。

  そのいずれも、大潮のときでした。

   また、いずれも、木曽川からの導水が停止、または中断していました。
  
   大量死の原因は?

     酸素不足が原因ではないかと考えられています。
     酸素不足になった原因としては、以下が想定されます。

     ・巻き上げたヘドロが水中の酸素を消費した。
     ・大量のボラが呼吸することで、水中の酸素が消費した。


74ページ

   汽水・回遊魚の遡上について


   堀川の中流域で、平成22年と23年の4月中旬から5月上旬に
  かけて、魚が大量死する事件が発生しました。

    平成22年と23年の共通点は?

    1.各年の最初の大量死であること(冬場にはない)
    2.魚種がコノシロであること。
    3.気温が15℃前後であること
    4.潮まわりが大潮であること
    5.まとまった雨がふったあとであること

    春先の大潮の時期で、まとまった雨が降ったあとに魚(コノシロ)が
    2年連続で大量死しているというのは興味深いことであり、
    今後も観察を続けると面白い発見につながる可能性があります。
   

76ページ

   
堀川の外来種について

   
左下の写真  

     トゲスッポンは、発見した2匹とも捕獲されました。

     ワニガメは、4匹発見され、うち2匹が捕獲されました。


83ページ〜91ページ

 第10ステージ以降の半年間(平成23年9月〜24年2月)の
間に開催された、学習会、イベントなどをまとめたものです。

 わずか半年だけでも、これほど活発な活動が展開されていることは
とても素晴らしいことだと思います。










   おともだちを誘って、みんなでたいっぱい調査隊、応援隊を作りましょう。

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     ⇒社会実験に関する新聞報道はこちら




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